研究課題/領域番号 |
01010081
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
長尾 美奈子 国立がんセンター研究所, 発がん研究部, 部長 (40100151)
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研究分担者 |
西澤 誠 東京大学, 医科学研究所, 助手 (30192248)
榎本 平 大阪大学, 微生物研究所, 助手 (00127622)
中村 敏一 九州大学, 理学部, 教授 (00049397)
津田 洋幸 藤田学園保建衛生大学, 医学部, 助教授 (10163809)
横路 謙次郎 広島大学, 原爆放射能医学研究所・病理, 教授 (70034618)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
13,500千円 (直接経費: 13,500千円)
1989年度: 13,500千円 (直接経費: 13,500千円)
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キーワード | ヘテロサイクリックアミン / ラット肝がん / ras変異 / myc過剰発現 / 蛋白質脱リン酸化酵素2A / ミニサテライトMOー2 / 転移 |
研究概要 |
ヒトがんの原因物質となっていると思われるヘテロサイクリックアミンのうち、lQ及びMelQxにより誘発されたラット肝腫瘍についてrasの活性化をPCR法により検討した。lQ誘発ラット肝腫瘍で16例中2例にcーHaーrasコドン13の変異を検出した。また、MelQx誘発肝がん10例中1例でcーkiーrasの変異が検出された。lQ及びMelQx誘発Zymbal線扁平上皮がんでは、それぞれ4/7及び2/5にras変異が検出された。即ちヘテロサイクリックアミンはras変異誘発能はあるが、ras変異は肝発がんに余り関与していないことを示唆していると考える。また、lQ誘発肝がん及び過形成結節では蛋白質脱リン酸化酵素(PP)2AのmRNAレベルが10倍上昇していた。rafおよびretーIIトランスフォーマントは、PP2Aの阻害剤オカダ酸により正常復帰することを見い出した。即ちPP2Aの細胞の悪性化への関与が示唆されたわけで、肝発がんにおけるPPの役割が今後の解決すベき課題として提起された。肝発がんには、cーmycの過剰発現を伴うことが非常に多い。問題はcーmycの過剰発現が原因なのか、癌化による細胞増殖の結果なのかである。この問題を明らかにすべく、cーmyc蛋白質の免疫染色法およびBrdUラベル法を用いてcーmyc発現と細胞増殖との関連をEHEN誘発肝がんについて検討した。cーmyc蛋白質の発現と細胞増殖とは一致して見られ、過形成結節、癌、ヌードマウス移植癌で特に高くなく、肝がんの悪性化における関与は低いことが示唆された。 C57BLXC3HF_1マウスに誘発された胸腺腫では、しばしば欠失のあることを、2番染色体上にあるMOー2ミニサテライト配列をプローブに用いて検出した。また肉腫細胞505株から、転移能の異なるクローンを複数個分離し変異を検べた結果、高頻度の変異が検出された。さらに1つのクローンから得られた複数の肺転移巣間でも変異が見つかった。腫瘍細胞が遺伝的に極めて変異しやすいことを明らかにした。
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