研究課題/領域番号 |
01015028
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
池内 達郎 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (90041839)
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研究分担者 |
岡安 勲 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (20014342)
吉田 光明 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (60182789)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1989年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 遺伝性腫瘍 / 家族性大腸腺腫症 / 腎細胞癌 / 染色体欠失 / ヒト第5番染色体 / ヒト第3番染色体 / 異型接合性の消失 / 癌抑制遺伝子 |
研究概要 |
主として家族性大腸腺腫症(FPC)由来の腫瘍および腎細胞癌(RCC)を試料とし、初発変異を基点として癌成立に至るゲノム変位を、腫瘍の病理学的所見と対比させながら、細胞遺伝学的に解析した。 (1).FPCではとくに、前癌病変と考えられる腺腫ポリープの染色体解析に主眼を置いた。FPC17症例由来の個々のポリープを個別に短期培養し合計43検体の染色体解析に成功した。概して正常核型が多かったが、数の異常として#7染色体トリソミーの頻発(25/43、58%)が認められた。他に、#12、#13、#20トリソミー及び#10モノソミーが比較的高頻度に観察された。構造異常は稀であったが#1p、と#5qの部分欠失がクローナルな異常としてそれぞれ4検体に観察され、他に#10qや#17pの部分欠失も目立った。とくに癌細胞に認められる#17pと#5qの欠失が、病理学的な異型度の低い小型ポリープにも見出されたのが注目された。これらの異常は、腫瘍発生の多段階過程で、現在考えられているより早期の細胞増殖に関わっていると考えられる。染色体の数的異常や腫瘍細胞集団中に存在する小さな異常クローンを認定するにはDNA解析のみでは難しく、個々の細胞のゲノム変化が捉えられる染色体分析が腫瘍の段階的発生機構を知る上で重要である。 (2).13症例のRCC試料及び正常組織よりDNAを抽出し、異型接合性の消失(LOH)を検索した。D3S2のRFLPマーカーを指標とした場合、informativeであった8例中全例にLOHが認められた。この8例の中には#3pが細胞遺伝学的に明らかに正常である例はなかったが、RCC中の#3pLOHの頻度は染色体解析による#3p部分欠失の頻度(60ー70%)に比して明らかに高かった。また、#3p上に想定される癌抑制遺伝子の存在を検証するために、RCC培養細胞への#3微小核移入実験を開始し、現在数個のクローン細胞が得られつつある。
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