研究課題/領域番号 |
01015033
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
山村 博平 福井医科大学, 医学部, 教授 (90030882)
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研究分担者 |
田中 幸枝 福井医科大学, 医学部, 教務職員 (10197486)
谷口 隆信 福井医科大学, 医学部, 助手 (60217130)
中村 俊一 福井医科大学, 医学部, 助手 (40155833)
箸本 英吉 福井医科大学, 医学部, 助教授 (20116239)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1989年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | チロシンキナーゼ / ポリアミン / ポリ塩基性アミノ酸 / 脾臓 / ブタ / Cキナーゼ |
研究概要 |
現在、チロシンキナーゼやCキナーゼなどの蛋白質燐酸化酵素と発癌の関係が注目されているが、数多く見つかった癌遺伝子産物由来のチロシンキナーゼを含め、発癌と直接関係すると考えられる。これらの蛋白質燐酸化酵素の生体内基質についてはまだほとんど明らかにされていない。私共はこのような蛋白質燐酸化酵素の基質の解析を中心に研究を行っている。本年度は細胞質に存在するチロシンキナーゼの完全精製に成功した。今日まで多くのチロシンキナーゼが報告されているが、この大部分は細胞膜由来であり細胞質チロシンキナーゼに関与する研究は少ない。我々は細胞質においても脾臓のような組織には細胞質チロシンキナーゼが多量に存在することを見い出し、この脾臓の細胞質のチロシンキナーゼの完全精製に成功した。分子量は約4万であり、酵素化学的に細胞膜由来のチロシンキナーゼとは異なる性質を有している。基質蛋白質について検索したところヒストンやミエリン塩基性蛋白質、チュブリン等を燐酸化するが、生理的な反応か否かはまだ解答を持っていない。このキナーゼはヘパリンやポリアミンによって活性が変動するが、用いる基質によってその活性の動きは複雑である。またポリ塩基性アミノ酸の添加によっても基質特異性は大きく変動する。即ち血清アルブミンやカルモデュリン、ホスホリラーゼbのような蛋白質は通常ほとんど基質にはならないが、ポリ塩基性アミノ酸が存在すると非常に良い基質となる。このように細胞質チロシンキナーゼは、ポリ塩基性アミノ酸やポリアミンのような物質によって基質認識が左右される。生体内においてもこのような物質が存在しチロシンキナーゼの基質認識に重要な役割を演じている可能性があり、さらに追求していきたい。同様な現象が細胞膜に存在する燐脂質によっても見られ、チロシンキナーゼの基質認識における様々な因子の関与が生理的に重要な可能性があり、今後明らかにしたい。
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