研究概要 |
1.成熟ヌードマウス脾臓細胞より染色体外の環状DNAを精製しDNAクローンライブラリーを作成しTCRgamma鎖とdelta鎖の再構成産物の解析を行った。1)gamma鎖については、正常脾臓と同様gamma_1、gamma_2両鎖が利用され、しかもシグナル結合にN配列の挿入もみられた。2)delta鎖については生殖細胞型D_2ーJ_1と擬転写結合D_1ーD_2が認められ、正常のシグナル結合はみられなかった。delta鎖は単純に逆位機構のみで再構成するとの知見に一致する。 2.成熟正常マウス脾臓細胞のgamma鎖delta鎖再構成ではシグナル結合に塩基欠損のみられるものもあり、はげしい組換え反応の結果として予想外の多様性を示した。胸腺外分化の寄与は少いと考えられる。 3.フレンドウィルスで誘発された腫瘍を拒絶した同系マウスの末梢リンパ血における腫瘍特異的CTLの遺伝子構造の解析を行った。1)20数匹の担癌マウスを用いて、その脾臓細胞を同系腫瘍細胞の存在下で培養し、腫瘍特異的CTLを増殖させたのち、TCRJbeta遺伝子をプローブとしてサザン解析したところ、再構成パターンは10以下の限定されたものであった。2)腫瘍特異的CTLクローンNO.8に対する同系マウスモノクローナル抗体N9ー127をとり,数百個のCTLクローンをしらべたところ,その10%が陽性を示した。そのTCRalpha鎖とbeta鎖の遺伝子構成をしらべると、Valpha_1Jalpha_<112ー2>/Vbeta_<10>Dbeta_<2.1>Jbeta_<2.7>であった。3)N9ー127抗体によるCTL活性の阻害効果の違いによってCTLクローンはほぼ2群に分けられた。alpha鎖については結合部も含めて同一のアミノ酸配列を示したが,beta鎖のCDR3に対応するD/J結合部ではG/yとAspの二種類にわかれた。今後D/J結合部に焦点をあてて他のCTLクローンの解析をすすめ,腫瘍特異的イデイオタイプの実体を明らかにする。
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