研究課題/領域番号 |
01015053
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長尾 善光 京都大学, 化学研究所, 助教授 (40027074)
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研究分担者 |
落合 正仁 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教授 (50127065)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1989年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | カンプトテシン / ポドフィロトキシン / ピロリチジン骨格 / レトロネシン |
研究概要 |
我々は、特定酵素の特定部位と非共有結合的分子認識を示すか、あるいは、特定酵素の特定官能基と高選択的な反応性を示す抗癌剤の分子設計と合成開発を目指している。 そこで、生体内においてキノンイミンに酸化されて酵素SH基との反応性が期待されるヒドロキシベンゾオキサゾロンや、低酸素性細胞に対して放射線増感活性を示すニトロトリアゾール誘導体を合成し、これらの化合物が生体内に存在するシステインやグルタチオンといった非タンパク性SH化合物に対して反応性を有することを証明した。ヒドロキシベンゾオキサゾロンならびにニトロトリアゾールは、抗癌剤開発における新規な活性中心として注目に値する。 一方、トポイソメラーゼIIの阻害が期待される植物アルカロイド、カンプトテシンについて、20位水酸基へ各種高級不飽和脂肪酸ならびにヒドロキシ高級不飽和脂肪酸をエステル結合により導入し、構造と抗癌活性の相関を明らかにした。その結果、P388白血癌担癌マウスに対して強い抗癌活性を示す化合物を得ることができた。プロテインキナーゼCの阻害が期待されるポドフィロトキシンについてもカンプトテシンと同様に高級不飽和脂肪酸エステル誘導体を合成し、構造と抗癌活性の相関を検討したところ、1位の炭素原子に関する立体化学が抗癌活性に大きな影響を及ぼすことが明らかとなった。 さらに、酵素SH基と特異な反応性が期待される機能性ピロリチジン骨格の不斉合成に成功した。ピロリチジン骨格を有する2環性アルカロイドは自然界に広く分布しており、なかでもインジシンNーオキシドについては抗癌活性が認められている。新たに開発したピロリチジン骨格の不斉合成法は、天然物であるレトロネシンの大量合成を可能とし、ひいてはインジシンNーオキシドの大量合成を可能にするものである。
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