研究課題/領域番号 |
01015085
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
日野 茂男 長崎大学, 医学部, 助教授 (70012763)
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研究分担者 |
宮本 勉 長崎大学, 医学部, 教授 (10004582)
石丸 忠之 長崎大学, 医学部, 助教授 (20039580)
土居 浩 長崎大学, 医学部, 医員
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
1989年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
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キーワード | HTLVー1 / 母乳 / ウイルス感染 |
研究概要 |
〔目的〕HTLVー1の地域内流行に対する母乳感染の役割を追及し、これを阻止することを目的とする。 〔方法〕(1)長崎県下のHTLVー1キャリア妊婦を抗HTLVー1抗体を指標としてスクリーニングする。(2)検出されたキャリアに対して母乳哺育を行わないよう指導する。(3)キャリアの出産した児の追跡調査を行う。 〔結果〕1.抗HTLVー1抗体の存在によるキャリア診断法によれば母乳哺育によるHTLVー1感染は、追跡1年の時点の抗体検査によりほぼ確実に診断できる。1年以降陽転したり、陰転する例はまれである。 2.抗体価の高いキャリア母親(凝集法1/1000倍以上)が主に母乳哺育をすると、児への感染は30%を超える。これに対して、完全人工栄養では3%程度にしか感染を見ない。 3.人工栄養で感染した児の場合、母親の抗体価はむしろ低いことが多い。母乳感染にはT細胞中の感染細胞濃度が高い方が感染をおこしやすく、母乳以外の感染には別の要素が感染効率に関係しているのかもしれない。 HTLVー1の母児感染はキャリア妊婦の出産した約500例の小児を追跡し、生後1年の時点の抗体検査によりほぼ確実に証明できた。キャリアに対する告知や、児の人工栄養による直接の障害はおこらなかった。初期の目的だった生後3年までの追跡には、さらに2年を要するが、これまでに得た少数の3年追跡児からは、現在の所見を3年まで延長して考えても妨げになる傾向は見られない。 今後の展望として、少数ながら見られる母乳以外の感染経路の追跡とPCRによる抗体陰性キャリアの問題を検討する必要がある。
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