研究課題/領域番号 |
01015097
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
福島 昭治 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (00137077)
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研究分担者 |
加藤 俊男 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (50204483)
白井 智之 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (60080066)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
9,200千円 (直接経費: 9,200千円)
1989年度: 9,200千円 (直接経費: 9,200千円)
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キーワード | ラット多重発癌 / 発癌修飾 / 発癌物質 / 発癌プロモーター / 発癌インヒビター / 複合効果 / 相乗作用 / 低濃度投与 |
研究概要 |
発癌物質ならびに発癌プロモーターやインヒビターなどが相互に関連して作用することによりin vivoでの発癌がどのように修飾されるかを多重癌モデルを用いて個体レベルで総合的に解析した。 F344雄ラットを用い、発癌物質として三種類のニトロソ化合物、DEN、MNU、DHPNを短時間に順次投与し(以後DMD処置と略す)、その後、肝、膀胱、その他の臓器を標的とする発癌物質ないし発癌修飾物質の低濃度を種々組み合わせて投与すると、その組み合わせにより肝および膀胱発癌は相乗的に促進し、さらに肝発癌の促進の程度は酸化防止剤の追加投与により抑制されたが、逆に膀胱発癌は増強した。胃発癌においては化合物の低濃度複合投与の相加作用が示された。その他の臓器には複合投与による明らかな発癌修飾作用は認められなかった。また、肝、甲状腺、膀胱などに障害を与える薬物でラットを前処置し、その後、DMD処置を施し、臓器障害と多重発癌における標的性の変動を検索した。肝内胆管の増殖は肝発癌を促進するものの、肝壊死の惹起は肝発癌を抑制させた。瀰慢性甲状腺腫は甲状腺発癌を抑制させることも明らかになった。 以上、発癌物質あるいは発癌修飾物質の低濃度複合同時投与は、標的臓器における発癌を相乗的あるいは相加的に増強させ、また、その程度はそれらの組み合わせに規制されることが明らかとなった。その発現にはこれら化合物の生体内での代謝、癌遺伝子の活性化と癌抑制遺伝子の消失、DNA付加体の形成などが関与していると考えられる。さらに、臓器障害の種類により発癌修飾の変動がみられ、細胞増殖と発癌との関連を解く重要な鍵がこの事実に含まれていると考えられる。
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