研究課題/領域番号 |
01015112
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
難波 正義 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (80069004)
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研究分担者 |
押村 光雄 神奈川県立がんセンター, 臨床研究所, 室長 (20111619)
濃野 勉 川崎医科大学, 医学部, 助手 (20098619)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1989年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | ヒト正常細胞 / 老化 / 無限増殖性化 / 癌化 / 染色体 / 遺伝子 |
研究概要 |
マウス、ハムスター、ラットなどの細胞での発癌実験から、細胞の癌化は無限増殖化の段階を経て癌化することが証明されてきた。ヒトの細胞の癌化も上の動物細胞の場合と同じように無限増殖化の段階を経る必要があると考えられる。しかし、動物細胞に比べヒト細胞はきわめて無限増殖化し難い。我々は、Coー60ガンマー線あるいはSV40で無限増殖化したヒト細胞の遺伝的変異を調べた。その結果、 1)無限増殖化前の正常細胞と無限増殖化した細胞の制限酵素断片差の多型性(RELP:Restriction Fragment Length Polymorphism)を調べた。その結果、第11染色体短腕(11p13ー11p15)の部分に変化を認めた。すなわち、この部分のHeterozygosityの消失がおこり、Homozygosityへの変化(遺伝子の欠失)がおこっていた。 2)染色体分析の結果も、無限増殖化細胞には、正常な第11染色体短腕をもつものは殆んど認められなかった。また、第1染色体の変化も著しく、正常な第1染色体をもつ細胞はみられなかった。 3)さらに、RFLPの手法で、無限増殖化した細胞では第13染色体の13q12ー13q14の部分に変異がみられることを見出した。この所見と1)の項で述べた11p13ー11p15の部分の変化の所見は、ヒトの遺伝性腫瘍(網膜芽細胞腫、およびウィルムス腫瘍)の遺伝子の位置に一致していて興味深い。今後これらの遺伝性腫瘍の遺伝子とヒト細胞の無限増殖化に関与する遺伝子との関連について追求したい。 4)ヒト染色体を含む微小核細胞を作り、その染色体を無限増殖化したハムスターの細胞に移入した。その結果、第1染色体移入の場合、その細胞の増殖が停止した。この結果は第1染色体にもヒト細胞の無限増殖化に関与する遺伝子が存在することを示す。また、第11染色体はヒト腫瘍細胞の増殖を停めた。この現象も無限増殖化抑制遺伝子の存在を示す。
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