研究課題/領域番号 |
01015124
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
岡本 尚 国立がんセンター研究所, ウイルス部, 室長
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
1989年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
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キーワード | HIV / Tat / TAR / RNA結合蛋白 / LBP1 / DNA結合蛋白 / 転写制御 / 遺伝子クローニング |
研究概要 |
HIVのトランス活性化因子Tatの作用はこれまでの実験より転写開始および転写後での効果が明らかである。その標的配列TARはキャプ部位のすぐ下流に存在しDNAとRNAの両方に表現される。そこでTAR・RNA及びTAR・DNAとTatとの直接または間接の相互作用を検討した。TatとTAR・RNAとの相互作用を、大腸菌により産生させたTatを精製しリボプローブシステムで作製した^<32>P標識TAR・RNAとの結合により確認した。結合定数(kd)は10^9/Mで、安定した結合がゲル移動度シフト法とnonthーwostern法により示された。また、TatはTAR・RNAと共にnuclear matrixに結合した。これらの結果はTatがウイルスRNAにTAR配列を介して結合しRNaseを含むnucleoーplasmよりmatrixに移行させ、その結果ウイルスmRNAの寿命を長くするという転写後の作用機構を示唆した。他方、TatはTAR・DNAには直接結合しなかった。しかし、細胞機内にTAR・DNAと特異的に結合する転写因子(LBP1)が存在する。HIV・LTRの無細胞転写系でHIV感染細胞の核抽出液は特異的転写増強作用を持つが、TAR・DNAとあらかじめ反応させるとその増強作用が著しく減弱した。LBP1とTatとの直接相互作用はまだ明らかではないが、この因子はHIV感染細胞内でのHIV転写増強に重要な役割を持つことが示唆される。LBP1のクローニングをTAR・DNAをプローブとしてsouthーwestern plaque screening法によりヒトT細胞株(Jurkat)のcDNA(lambda gt11)ライブラリーより行なった。現在までに約2×10^5p・f・n.の組み換えファージの中から2種類のクローンを分離した。これらはJurkat細胞でそれぞれ1.9と3.0kbのmRNAサイズを持ち、互いにcrossーhybridizeしないことから独立の遺伝子と思われる。これらのY1089 lysogenより得た組み換え蛋白を用いそのDNA結合特異性を鋭意検討中である。
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