研究課題/領域番号 |
01015126
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
横田 淳 国立がんセンター研究所, がん転移研究室, 室長 (10191503)
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研究分担者 |
秋山 徹 東京大学, 医科学研究所・制癌研究部, 助手 (70150745)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
1989年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
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キーワード | 染色体欠失 / がん抑制遺伝子 |
研究概要 |
近年、がん抑制遺伝子不活化による発がん機構は遺伝性腫瘍のみでなく、多くの非遺伝性腫瘍の発生、進展にも密接に関わっていることを示唆する結果が集積しつつある。我々は、非遺伝性腫瘍における染色体欠失及びがん抑制遺伝子異常の意義を明らかにするため、RFLP分析、RB遺伝子の分析、染色体導入実験などを行ない、以下のような結果を得た。1.RFLP分析により、褐色細胞腫では第1、11染色体、神経芽細胞腫では第14染色体、子宮顕がんでは第3染色体、肝臓がんでは第4、16染色体が高頻度に欠失していることを明らかにした。さらに、肺小細胞癌における第13、17染色体の共通欠失領域にはRB遺伝子、p53遺伝子があることを明らかにした。2.がん抑制遺伝子産物であるRBタンパク質は、HL60細胞の分化に伴ってリン酸化の程度が著しく低下することを見い出した。肺小細胞癌で正常RBタンパク質が産生されない原因は、第13染色体長腕の欠失に加えて残存するRB遺伝子内に微小欠失や点突然変異が起こっているためであることを明らかにした。3.第3染色体短腕に異常のあるヒト腎臓がん細胞株に正常細胞由来の第3染色体を導入するとin vitroの増殖には変化はなく、ヌードマウスでの造腫瘍性が低下することを明らかにした。RFLP分析の結果は、染色体欠失を伴うがん抑制遺伝子の不活性が予想以上に多くのがんの発生、進展に関わっていることを強く示唆している。肺小細胞癌ではRB遺伝子が実際に不活化していることを示すことができた。さらに、染色体導入実験により生物学的にもがん抑制遺伝子の存在を強く示唆する所見を得た。今後は、新しいがん抑制遺伝子単離を試みるとともに、不活化とがん細胞の性状との関連性についてさらに詳細な解析を加え、がん抑制遺伝子の実体を明らかにして行きたいと考えている。
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