研究課題/領域番号 |
01041002
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
菊地 勝弘 北海道大学, 理学部, 教授 (80000793)
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研究分担者 |
桜井 兼市 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (50002613)
谷口 恭 北海道大学, 理学部, 助手 (40150247)
上田 博 北海道大学, 理学部, 助教授 (80184935)
播磨屋 敏生 北海道大学, 理学部, 教授 (90001859)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
1989年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
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キーワード | 雪結晶 / 低温型雪結晶 / 北極エアロゾル / 土壌物質 / 海塩粒子 / 燃焼成物 |
研究概要 |
平成元年度のグリ-ンランドにおける現地調査は、一班がデンマ-ク・コペンハ-ゲン大学付属のGodhavn(グリ-ンランド名;Qeqertarsuaq)(69°15′N,53°34′W)にあるArctic Stationで1989年12月20日から1990年1月24日までと、他の一班は、デンマ-ク環境局のGodthab(グリ-ンランド名;Nuuk)(64°10′N,51°45′W)にあるBiological Stationを使って、1989年12月18日から1990年1月3日にかけて行なわれた。 今冬のグリ-ンランド西岸域は、平年に比して温暖で、観測期間中の気温は、Godhavnで+5℃〜-22.5℃であった。プラスの気温を記録した日はいずれも北東風の時で、フェ-ン現象によるものと考えられる。観測期間中は従来の北極域の観測に比べて比較的高温ではあったが、注目していた雪の結晶の「御幣型:Gohei twin」,「鴎型:Seagull」,「矛先型:Spearhead」のいずれをも観測することができた。特に鴎型と矛先型が非常に多かったのが特徴的であった。したがって、従来までに観測された北極圈カナダやノ-ルウェイでの結晶と比較することは大変興味のあることである。 一方、Godthabでは、0℃〜15℃といった温度範囲であったため、通常の樹枝状、角柱、砲弾集合が主な結晶形で、特に雲粒付結晶や霰が多かった。したがって、これまで日本で行なってきた雲粒付結晶や霰の地域特性が、グリ-ンランドのような極域でも成り立っているのかどうか興味のある点である。 現地観測で得られた膨大なデ-タは、主として、菊地と上田が低温型雪結晶の成長に関する解析、考察を行ない、桜井と谷口がエアロゾル粒子の走査型電子顕微鏡およびエネルギ-分散型X線分析装置を用いて成分分析等を行っている。また、霰の成長の比較検討は播磨屋が行ない、エアロゾル数濃度の解析および流跡線解析は谷口によって行なわれている。 過去2度にわたる北極圈カナダやノ-ルウェイにおける一連のこの種の研究により、現在までに得られた知見は次のようなものである。 1.御幣型、鴎型、矛先型の結晶成長相互の関係についての考察の結果、矛先型結晶は、成長軸を挾んだ二つの柱面の主軸のなす角度が約116°で、柱面同士のなす角度は約30°である。矛先型は、(1013)面を接合面とする双晶で、結晶先端の角度が約56°の御幣型結晶に対応する。また、矛先型結晶は、内側に曲った鴎型結晶の羽根の一つである。矛先型結晶と御幣型結晶の形成機構は、立方晶構造モデルと基底面上での回転双晶によって証明できそうである。 2.低温型雪結晶の中心核の成分分析では、土壌起源、人為起源、海洋起源で分類した結果、選択的に海洋起源の物質を中心核にし易いという傾向は、はっきりとは認められなかったが、一部の結晶については確認することができた。 3.Godhavn観測点でパ-ティクル・カウンタ-によるエアロゾル数濃度の日変化の特徴的なこととして、フェ-ンの時は、小粒径が極端に少なくなり、直径5μm以上の粒子が2桁程度も増加することがわかった。 この現地観測で得られたデ-タは目下解析中であり、平成3年3月に印刷公表の予定である。
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