研究課題/領域番号 |
01041007
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
谷本 一之 北海道教育大学, 学長 (20002446)
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研究分担者 |
PADITSKY A. ロシア科学アカデミー民族学研究所, 所員
OSKIN A. ロシア科学アカデミー民族学研究所, 所員
ZHORNITSKAIA ロシア科学アカデミー民族学研究所, 所員
大島 稔 小樽商科大学, 短期大学部, 助教授 (00142787)
森田 稔 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (80003292)
ZHORNITSKAIA ロシア科学アカデミー, 民族学研究所, 所員
PADITSKY A ソ連邦科学アカデミー民族学研究所, 所員
OSKIN A ソ連邦科学アカデミー民族学研究所, 教授
ZHORNITSKAIA ソ連邦科学アカデミー民族学研究所, 所員
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
1991年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1990年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1989年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | チュコト半島 / ドラム・ダンス / シャ-マンの歌 / 喉鳴らし / 採譜 / 北方諸民族芸能地図 / 極北芸能地図 |
研究概要 |
1).平成元年度と2年度にシベリア・チュコト半島のチュコト管区、アナディル管区そしてマガダン管区で実施した現地調査により、アジア・エスキモ-及びチュクチ族芸能の約150時間の録音資料と90時間の録画資料を得た。資料の内容は、「太鼓踊り歌」、「シャ-マンの歌」、「動物踊り歌」、「子守歌」、「喉鳴らし遊び」、「作業歌」、「動物の擬声」等、全てのジャンルを網羅している。現地調査では古老からの聴き取り録音・録画を中心に行なったが、同時に各地で活動している、主に若者によって組織されている“民族アンサンブル"の活動についても調査した。古老からの聴き取りの際にはJesup Expeditionに参加したロシアの人類学者W.BogorasとW.Jochelsonがエジソン式蝋管録音機により録音したエスキモ-、チュクチ、コリヤクの踊り歌、シャ-マンの歌、喉鳴らし遊び等のコピ-を聴いてもらい、その中で知っている歌をうたってもらって録音した。これらの資料はこの地域における伝承芸能の時間的変化と伝播の過程を把握する上で極めて重要なもので、特に、エスキモ-についてはシベリアとアラスカのユピック語圏間の関係、チュクチでは海岸チュクテとツンドラ・チュクチとの関係について新たな知見を得ることができた。 2).研究分担者であるロシア科学アカデミ-・民族学研究所のDr.Oskin,A.(映像人類学)とDr.Zhornitskaia,M.I.(民族舞踊)を招聘し、北海道教育大学の設備を使用して現地調査によって得た録画資料により「シベリア・チュコト半島の歌と踊り」のタイトルで3本のデモストレ-ション・テ-プ(各1時間)を制作した。このテ-プは複製して、調査地の博物館、学校、その他の関係する研究機関に提供した。さらに録音資料から約50曲を選択し、それをコンパクト・ディスク(CD)用に編集し「エスキモ-の歌と踊り」、「チュコト半島の芸能」のタイトルでビクタ-音楽産業から出版の予定である。尚、このCDの出版は国立民族学博物館とスミソニアン研究所との共同制作である。 3).録音、録画資料からの歌詞の聴き取り及びその翻訳、旋律の五線譜による採譜を一部実施した。歌詞の翻訳の多くは、現地の調査協力者によって行なわれたが、それらのエスキモ-語またはチュクチ語からの英訳、露訳を日本語に翻訳することが今後の課題として残されている。採譜については、その採譜の成果は、それを行なう採譜者の能力に大きく依存するため、採譜者の養成にも留意し作業を進めている。全部の曲についての五線譜化には2〜3年を要すると考えている。 4).本研究課題以前に実施した調査により得られた資料も含め、「北方諸民族民俗芸能地図」の作製を開始した。この地図は民俗要素(項目)を要素毎に地図に記入し、その要素の地理的分布を知るものであるが、予想される数千項目の要素分布図を重ね合わせることによって、単なる共時的な分布だけでなく、その要素の移動、そして時間的変化の過程が明らかになることが期待される。この問題を本研究課題に則して述べると、例えば西はチュコト半島から東はグリ-ンランド東海岸まで、チュクチとエスキモ-は枠の外側に取手の付いた一面太鼓という共通項でくくられる。この一面太鼓の製作法(木質、皮の種類等)、形状(大きさ、枠の形等)、叩き方(叩く部位、リズム等)、機能(シャ-マンの祭具かファミリ-太鼓等)等の分布地図を他の歌や踊りの要素の分布地図と重ね合わせることによって地域の特徴と地域間の交流の様相が明らかにされるものと確信している。
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