研究課題/領域番号 |
01041018
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 亜人 東京大学, 教養学部, 教授 (50012464)
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研究分担者 |
索 文清 北京中央民族学院, 民族学研究所, 所長
三尾 裕子 東京外国語大学, アジアアフリカ言語文化研究所, 助手 (20195192)
清水 純 日本大学, 経済学部, 助教授 (30192610)
瀬川 昌久 東北大学, 教養部, 助教授 (00187832)
横山 廣子 東洋英和女学院大学, 人文学部, 助教授 (30143324)
川崎 有三 帝京大学, 国際関係学部, 助教授 (20161309)
田村 克巳 (田村 克己) 国立民族学博物館, 助教授 (40094156)
末成 道男 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (20054570)
中根 千枝 東京大学, 名誉教授 (00012964)
SUO Wn-Chin Institute of Ethnology, Zhongyang Minzu-Xueyuan, Beijin
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
22,000千円 (直接経費: 22,000千円)
1991年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1990年度: 11,000千円 (直接経費: 11,000千円)
1989年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
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キーワード | 漢族社会 / 村落 / 家族と親族 / 祖先祭祀 / 民族間関係 / エスニシティ- / 牧民社会 / 移民社会 / 少数民族 / 漢族 / 民族文化 / エスニック・アイデンティティ- / 親族と守護霊 / 地域社会 / 巫儀(シャ-マニズム儀礼) |
研究概要 |
本年度は、これまでの調査研究の総括であり、特に各研究分担者が昨年度に行った現地調査に依って得られた資料をもとに、整理と分析に主眼を置き、研究成果の公表のための吟味をおこなった。その分担内容は、漢族の社会については、 1)広東省の農村における村落、親族、信仰と儀礼(末成、川崎、瀬川)、 2)福建省の漁村における家族と婚姻、年中行事(田村、清水)、 3)台湾の漁村における村落と祭祀(三尾)、 少数民族については、 4)四川省西部の蔵族の生態学的適応と民族間関係および僧院の社会的特質(中根)、 5)雲南省の白族農村における家族、加齢と人生モデル(横山)、 6)福建省のシェ-族の文化変容とエスニシティ-(瀬川)、 7)内モンゴルの錫林格勒盟モンゴル族牧民における家族、居住と祭祀(伊藤)、 8)遼寧省の満族農村における親族と祭祀および巫俗(伊藤)、 9)遼寧省および吉林省の朝鮮族農村における文化変容とエスニシティ-(伊藤)などの多岐にわたった。 各研究分担者の成果は、中国から招聘した三名の研究者を交えた研究会議と資料検討作業会(ワ-クショップ)において、報告・討論と検討がおこなわれ、その成果の一部は学会(日本民族学会)やさまざまな研究会、セミナ-等で発表され、出版の準備が進められている。 漢族農村の調査では、広域的な調査によって、社会主義体制下での村落の再編成過程での親族(宗族)の実態と、祖先祭祀や土地神祭祀の変容・復活の様相について民族誌的資料の蓄積が得られ、福建省の漁村では、厦門大学人類学科の二教授の協力による集約的な調査の機会に恵まれて、家族と婚姻の様式を中心とした村落生活の全般に亘る民族誌資料が得られた。少数民族については、いずれの民族集団においても、民族独自の文化伝統と漢族の文化との相互影響関係および社会主義の政治体制下での変容とエスニシティ-が共通の関心を呼んだ。四川省の蔵族や錫林格勒盟のモンゴル族の牧民社会においては、生態学的な生業・居住の区分と仏教の僧と寺院、民族間の交易などの民族文化・社会の伝統が手掛かりとなった。これに対して漢化がはるかに進んでいる白族や、容家と深い関係にあるシェ-族における民族意識の有り方はより両義的であり、遼寧省の満族でも言語などの点で早くから漢化が進んでいる反面、前王朝とも直結する親族の歴史と祖先祭祀及び守護霊に対するシャマンの儀礼などが、民族意識の指標として特別な関心を呼んでおり、民族意識の有り方は両義的かつ重層的である。これにたいして朝鮮族の農村では、移民社会特有の現象として文化要素の組み換え、消滅、強化が顕著であり、言語の点でも不安定な状況が注目された。少数民族ばかりでなく漢族も含めて、民族意識をめぐるエスニシティ-の様相は民族、地域、政治経済的状況に応じて極めて多様かつ流動的であり、中国社会の研究における重要性が一層認識された。
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