研究課題/領域番号 |
01041020
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
床次 正安 東京大学, 理学部, 教授 (80029850)
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研究分担者 |
湊 秀雄 東京大学, 教養学部, 名誉教授 (40012207)
HASUI Yocite パウリスタ大学, 地質学教室(ブラジル), 教授
HIODO Y.Fran サンパウロ大学, 天文地球物理教室(ブラジル), 助教授
豊田 和弘 東京大学, 理学部, 助手 (10207649)
相川 信之 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (20047327)
芳賀 信彦 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (60011748)
小澤 徹 東京大学, 理学部, 講師 (00011651)
堀内 弘之 東京大学, 理学部, 助教授 (80029892)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
14,500千円 (直接経費: 14,500千円)
1990年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
1989年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
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キーワード | ブラジルの岩石鉱物 / アルカリ岩 / カ-ボナタイト / 希土類鉱物 / 風化鉱物 / 燐・チタン鉱床 / 鉱物組織 / 放射性鉱物 |
研究概要 |
本研究の報告は主として平成元〜2年度において行なった実績であるが、実際上は、昭和62、63年度にそれぞれ単年度で行なった調査研究を引継き発展させたものである。研究の中心課題は、ブラジルのカ-ボナタイト・アルカリ複合岩に伴う希土類鉱物や放射性鉱物の生成環境の調査および採集鉱物の記載・組織解明である。これを遂行するため、ブラジルの先カンブリア代ないしそれに準じる古い地塊に沿ってほぼ南北に点在するアルカリ岩、カ-ボナタイトアルカリ複合岩の貫入岩帯の調査と試料の採集、および、花崗岩帯にしばしば見られるベグマタイト地域の調査を、平成元年度と2年度の計4回にわたる派遣により行なった。さらに、研究の国際交流を深めること、研究内容・方法を相互に理解すること、更に、将来計画の議論を目的として、平成元年度と2年度夫々1度の計2度にわたりブラジルの研究者を招聘した。 これまでに行なった主な現地調査地点および内容は、ほぼ南から順に(1)サンタカタリ-ナ州カジャチ(Cajati)附近のセメント用石灰岩や燐酸肥料の鉱山(Quimbrasil、Serrana)での新鮮なカ-ボナタイト、ジャクピランガイト、及びそれらの接触変成した岩石の調査、(2)サンパウロ州、ミナスジェライス州の州境のボッソス・デ・カルダス(Pocos de Caldas)でのZrを濃集したカルダサイトとよばれる岩石、フォノライト、チングアイト、ルジャ-ブライトなど種々のアルカリ岩、放射性鉱物を含む岩石、ほぼマグネタイトからのみなる貫入岩の調査、(3)ミナスジェライス州北部、アラシャ、タピ-ラ(Araxa, Tapira)附近の燐酸肥料、および、チタン、ニオブの鉱山(Arafertil, CVRD,CBMM)での、カ-ボナタイト・アルカリ複合岩およびその風化物、風化に耐えて残留したマグネタイト、ペロブスカイト、パイロクロアなどの他、アルカリ金属・アルカリ土類金属元素が溶脱して得られたアナタ-セ、他に二次的生成鉱物などの調査、また、ボ-リングコアの入手、(4)ゴヤス州南部、カタロン(Catalao)附近のカ-ボナタイト・アルカリ複合岩が風化し燐酸カルシュウムが濃集した結果生じた燐酸肥料鉱山(Goiasfertil)の調査と風化土のボ-リングコアの入手、また、La,Ceなどの希土類元素が極めて濃集した岩石の調査と試料の採集、(5)ゴヤス州北東部、ミナス-(Minacu)附近のアスベスト鉱山でのペリドタイトを中心とする超塩基性岩、特に興味深いのはグラファイトを多量に含む超塩基性岩の調査、さらに、この地域附近に見られるペグマタイト鉱床の調査により、アマゾナイト、タンタライト、蛍石、モナザイトなどの他、風化残留の水晶の採集、(6)ゴヤス州とトカンチンス州の州境からトカンチンス州南部のペイシェ(Peixe)附近に至る地域のジルコンを多く含むアルカリ母岩の調査、また、ペグマタイトと見られる含コランダム岩石の調査、(7)バイ-ア州南東部のソ-ダライト-ネフェリンを主成分とする閃長岩の調査、(8)パラ-州北東部のボサノ-バ(Boca Nova)附近のネフェリンを主成分とする閃長岩の調査、など、カ-ボナタイト・アルカリ複合岩を中心とする岩石・鉱物の調査研究に加え、(9)ミナスジェライス北東部アラスアイ(Aracuai)附近のペグマタイト地域での岩石・鉱物などである。いずれも、貫入の時期は今より70〜130Ma前の範囲と見られている。 本調査研究で得られた岩石・鉱物試料は、日本の地質では得難い稀な試料が多い。特に、炭素の起源、燐酸塩鉱物の生成過程、希土類元素の濃集する鉱物の生成過程、風化の過程、特異な鉱物の共生関係、など、多くの興味深い問題を含んでいる試料である。これまでに採集した岩石・鉱物標本のうち、幾つかの試料について構成鉱物の記載や鉱物組織の観察を、光学顕微鏡、X線回折法、走査型電顕などにより行ない関連学会等で発表を行なってきたが、今後も引続き、観察、分析、解析手段を充実させ、前述の問題解明を目的として研究を遂行する。 さいごに、サンパウロ大学FUJIMORI Kenkichi教授をはじめ、ブラジルの共同研究者、関係鉱山での研究者には多大のご協力を得たことを記し、深く感謝する。また、FUJIMORI教授には共同研究の半ばで癌のため急逝され、痛恨に堪えない。
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