研究課題/領域番号 |
01041021
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
辻 隆 東京大学, 理学部, 教授 (20011546)
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研究分担者 |
川上 肇 国立天文台, 岡山天体物理観測所, 学振特別研究生 (10202029)
磯部 しゅう三 国立天文台, 光学赤外線天文学研究系, 助教授 (20012867)
野口 邦男 名古屋大学, 理学部, 助手 (10111824)
馬場 直志 北海道大学, 工学部, 助教授 (70143261)
中田 好一 東京大学, 理学部, 助手 (80011740)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
1989年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
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キーワード | 恒星進化 / 動的過程 / 高精度天体物理観測 |
研究概要 |
本海外学術研究の目的は、高精度天体物理観測による恒星進化における動的過程を明らかにすることである。このような高精度の天体物理観測を行なうためには天候がよいこと以外にも、空が暗く、空気の乱れが少なく、また大気中の水蒸気量が少ない等の条件を満たす天体観測の適地を全世界に求めなければならない。この目的のために本調査ではハワイのマウナケアやチリのアンデス等の高地をはじめ、北米、豪州等の観測最適地にある大型望遠鏡を使用して観測を行う計画を立て、全部で16の観測班は所期の観測に成功し多くの有用なデ-タが得られた。これらのデ-タの解析には若干の時間が掛かり、まだ最終的結果をまとめるにはいたっていないが、すでに以下のような予備的結果が得られている。 1.前主系列星の高解像観測(1チ-ム) 赤外スペックル観測により誕生間もない原始星を角分解能0.1秒角以下で観測することに成功し、T Tau等いくつかの原始星の多くが伴星を伴っていることが明らかにされた。また、観測した大部分の星でハロ-やディスク状の成分を検出した。これらは連星系や惑星系の形成過程を明らかにするうえに新しい重要な結果である。 2.恒星の高分解能観測(2チ-ム) 光学領域のスペックル観測により、多くの連星を観測しその軌道要素の決定を行った。これらの観測の蓄積により、星の最も基本的な物理量である質量が得られる。 3.星の形成領域も分光測光観測(3チ-ム) オリオン領域等の大規模な星の形成領域における輝線星の探査の結果にもとずき、分光観測を行い多数のT Tau星を確認した。これから、このような大規模な星の形成領域の構造と歴史を解明する基礎デ-タを得られた。 4.高温特異星の化学組成(2チ-ム) 化学組成の特異性と回転、質量放出等の関連を明らかにする基礎デ-タが得られた。 5.進化の進んだ星の分光測光観測(6チ-ム) 赤色巨星、惑星状星雲、連星等のについて赤外観光、CCD分光等の各種物理観測を行い、進化の進んだ段階における複雑な動的過程が観測的に明らかにされた。 6.活発な星形成を示す銀河(2チ-ム) 光学及び赤外分光による大規模な星形成を示す銀河やリング銀河の特性が明らかにされ、これらの銀河における動的過程が明らかにされつつある。 以上のように、本海外学術研究では、世界最先端の望遠鏡と観測装置を駆使して、非常に高精度で各種物理観測に成功し、その結果として恒星進化の初期や最終段階における複雑な動的過程、連星、特異星の進化における各種活動現象、さらには銀河規模における星と星間ガスの動的相互作用等を解明する上で貴重なデ-タが得られた。
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