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韓国における強汚濁水界生態系ならびに流域構造の解析とその保全対策支援システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 01041030
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
研究機関東京大学

研究代表者

鈴木 基之  東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10011040)

研究分担者 季 哲煕  嶺南大学, 環境工学科, 教授
茅原 一之  明治大学, 理工学部, 助教授 (80111566)
河 紀成  釜山国立工業大学, 工学部, 助教授
岡田 光正  東京農工大学, 工学部, 助教授 (70124336)
朴 永圭  嶺南大学, 環境工学科, 教授
HA Ki-Sung  Department of Chemical Eng., Pusan Inst. of Technology
PARK Yung-Kyu  Department of Enviromental Engineering, Yeungnam University
LEE Chul-Hee  Department of Environmental Engineering, Yeungnam University
研究期間 (年度) 1989
研究課題ステータス 完了 (1989年度)
キーワード韓国 / 洛東江 / 水界生態系 / 汚濁負荷 / トリハロメタン / 腐植物質 / パ-ソナルコンピュ-タ / 流域管理システム
研究概要

韓国においては、近年、産業の発展が急速である反面、排水処理施設等の整備が不十分であるため、水界産態系の破壊が顕在化してきている。本研究では、水資源開発を目的とした河口ダム湖の建設により、このような現象が現われつつある韓国洛東江水系を対象として、その水界生態系、ならびに水資源を保全するため、強度に汚濁した洛東江ならび下流の河口ダム湖生態系の構造ならびに動態、ならびにその流域における汚濁負荷発生、流出、流達構造を調査・解析するとともに、これに基づいて水処理システム、産業構造等のあり方に総合的な検討を加えることのできる水系管理システムをパ-ソナルコンピュ-タベ-スで開発し、現在ならびに近い将来に顕在化すると思われる発展途上国水域の水系管理を容易ならしめる手法の確立のための検討を行った。
本研究では、まず、日本側研究者と韓国側研究者との間の合同シンポジウムを開催し、洛東江の水質汚濁、流域構造の現状に関する知見の整理、わが国における水系管理システムの開発状況の紹介を行うと共に、相互に異なる河川・湖沼調査方法の統一のための協議を行った。その成果は、シンポジウム資料としてまとめた。また、同時に今後の調査地点、調査方法、ならびに調査頻度を、既往の調査結果に基づいて決定した。
その後、4回にわたって現地水質、生態系、ならびに水利用障害の調査、ならびに汚濁負荷発生、流出、流達状況の調査を行った。このうち、水質調査では琴湖江のような主要な支流も含め、最上流の安東ダム湖から河口ダム湖に至る12地点の河川・湖沼調査を行い、その季節変動特性を明らかにした。とくに、大邱市の排水がほとんど未処理で流入する琴湖江の汚濁が著しく、部分的には嫌気的な汚濁生態系になっていた。このため、琴湖江の流入が洛東江中流部における主要な汚濁源になっていることがわかった。
水利用障害に関しては、淡水域で最も重要な水道水としての利用を前提とし、まず、洛東江河川水中の腐植物質の分離濃縮、ならびにキャラクタリゼ-ションを行った。洛東江はその流下によりTOCなどの低下が認められるとともに、腐植物質の特性も変化していることを明らかにした。さらに、これら腐植物質を含む水道原水の塩素処理によって生成されるトリハロメタンに着目して、取水から水道栓に至る浄水処理過程でのその生成能の評価を行った。強度の汚濁のため、わが国よりはるかにトリハロメタン生成能の高い水道原水であることを明らかにした。
汚濁負荷に関しては、行政資料を中心に工場、都市下水などの点的汚濁負荷源に関する情報の整理を行うと共に、都市、農地、山林など面的汚濁源を推定するための基本的流域フレ-ムを明らかにした。
洛東江生態系の回復策を検討するための水系管理エキスパ-トシステムの開発に関しては、まず、国際的なソフトウェアとしての適用性を念頭に使用言語の検討を行い、C言語ならびにprologを用いることとした。このため、C言語を基本としてソフトウェアの開発を行い、窒素、リン、CODを対象とするプロトタイプ汎用システムを開発した。これらは、韓国におけるパ-ソナルコンピュ-タシステムとの整合性も検討した結果、作動しうることを確認した。また、負荷原単位の推定に必要なアドバイザシステムの開発も試み、その基本的な構想と運用法を開発した。
さらに、湖沼生態系に関してはパ-ソナルコンピュ-タで作動するシミュレ-ションモデルの開発を行った。河川生態系に関しても、わが国の河川よりはるかに複雑な水系を念頭にそのシミュレ-ションモデルの開発を行った。
これらの検討により、洛東江水系全体の水系管理エキスパ-トシステムに発展させるための基本的な枠組みは、一応の完成をみた。今後さらに具体的な検討とシステムとしての連結を行うことにより、他の発展途上国の水界生態系を対象とした水界生態系管理システムに発展させる可能性を明らかにした。

報告書

(1件)
  • 1989 研究成果報告書概要
  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] M.Suzuki,K.Chihara,M.Okada,H.Kawashima andn S.Hoshino: "DEVELOPMENT OF DIALOG SYSTEM MODEL FOR EUTROPHICATION CONTROL BETWEEN DISCHARGING RIVER BASIN AND RECEIVING WATER BODY - CASE STUDY OF LAKE SAGAMI(JAPAN)" WATER SCIENCE AND TECHNOLOGY. Vol.21. (1989)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1989 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] H.Kawashima and M.Suzuki: "NUMERICAL SIMULATION MODEL FOR PREDICTION OF BOD REMOVAL RATE IN STREAMS" WATER SCIENCE AND TECHNOLOGY. Vol.21. (1989)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1989 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 鈴木基之: "安全な水資源の確保に向けて" 化学と工業. 42ー11. (1989)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1989 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] M. Suzuki, K. Chihara, M. Okada, H. Kawashima, S. Hoshino: "Development of dialog system model for eutrophication control between discharging basin and receiving water body ---Case study of Lake Sagami (Japan)" Water Science and Technology. 21. 1821-1824 (1989)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1989 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] M. Suzuki: "For the safety of drinking water" Kagaku to Kogyo. 42. 1977-1981 (1989)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1989 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] H. Kawashima, M. Suzuki: "Numerical simulation model for prediction of BOD removal rate in streams" Water Research. 21. 1003-1014 (1989)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1989 研究成果報告書概要

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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