研究課題/領域番号 |
01041034
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
清水 宏祐 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (50114799)
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研究分担者 |
小松 久男 東海大学, 文学部, 助教授 (30138622)
私市 正年 上智大学, アジア文化研究所, 助教授 (80177807)
梅村 坦 立正大学, 教養部, 助教授 (90124289)
後藤 明 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (50079224)
HAYASHI Kayoko Research Associate, Institute of Oriental Culture University of Tokyo
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
1990年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1989年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
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キーワード | イスラム / イスラム都市 / 街区 / 民衆組織 / 民衆運動 / ス-ク / バ-ザ-ル / マハッレ |
研究概要 |
初年度に、トルコ、モロッコ、アルジェリア、チュニジアの諸都市における調査に続いて、最終年度は、中国におけるムスリムの集住地域である新彊ウイグル自治区を訪れ、現地の人文・社会・自然科学の各分野の研究者と意見・学術情報をを交換するとともに、都市の特徴についても討議した。主たる訪問先は中国科学院新彊土壌生物沙漠研究所、および同チラ支所である。 都市調査は、ホタン、ヤルカンド、カシュガルについて実施した。内容は、前年同様に、 1。都市における市場(バザ-ル)の立地と構造 2。街区の構成と住居の関係 3。街区における住民組織 4。市壁と道路、路地、モスク、マドラサ、ハンマ-ム等のハ-ドウェアの地域的特徴 5。市場、広場、道路における住民の行動様式 調査は、前年と同じく聞き取り、街区図作成、収集、映像資料収集を中心とした。今回はビデオカメラ3台を投入し、街区、住民、バザ-ルにおける家蓄取引、さまざまな職業、乞食、たくはつ僧など他面的な映像を収集した。 それによりイスラム諸施設が生活の中に組み込まれている様子を如実に知ることが出来た。また、ス-クを核とする民衆の生活空間的動線、時間的動態の民族および各都市における相違の存在と、その反面でイスラムとしての等質性を確認することが出来た。 収集した資料の処理についても研究を行い、DATにより静止画処理、デジタル処理についても考察を行った。これら情報処理についても論文を発表している。 初年度、2年度をあわせた成果としては次のようなことがいえるであろう。 1。都市と都市周辺世界との有機的結合関係の確認。特に新彊においては、都市のバザ-ルが食料、家蓄、衣料、燃料などの交換の場であるとともに、農村工業の素材仕入れのばでもあり、牧蓄民と農民との交換も都市を媒介にして行われることが明らかになった。 2。また、都市とその周囲の世界の生態系、気候条件との関係を明らかにするため、マグレブ都市、アナトリア都市、新彊都市のそれぞれについてマルトンヌ指数を算定し、感想どの比較を行った。さらに天水農業地帯と灌漑農業地帯の収量を比較し、都市の食糧供給圏の広がりを考察した。 3。都市とオアシスが一体となって経済圏を構成していること。これについては、地域差があり、国情によっても違いがあることが判明した。たとえば、トルコでは、地方都市も広域経済圏に含まれつつあるが、新彊では都市間の物資移動がほとんどなく、閉鎖的な経済圏の中核として都市が機能していることを確認した。 4。都市内部の街区の構成の研究。映像資料の分析をもとに街区図を作成し、一本の路地がコミニュティ-の場としての街区を構成し、共通の水場。パン焼き竈によって一つの生活共同体の舞台を作っていることを明らかにした。 5。生活情報の収集。都市内部の人間の営みを等身大の姿でとらえるために、バ-ザ-ルや路地の奥まで踏み込んで、映像資料を収集した。また、聖者廟への参詣のようすも記録し、民衆レベルでのイスラム受容のありかたについても情報を集めた。 これらをもとにして、研究分担者、研究協力者が全員で執筆した論文集『イスラム都市における街区の実態と民衆組織に関する比較研究』を出版した。これは、従来の文献資料に加えて、映像資料を出典とした画期的なもので、ひろく研究者に配布して、比較研究の題材として活用されることが期待されている。 11月に行われた国際会議「イスラムの都市性・II」では、調査をもとに清水、梅村がスピ-チを行っている。 また、映像資料も東京外国語大学AVセンタ-で処理して、広く公開の予定である。
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