研究課題/領域番号 |
01041036
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
永田 雄三 (1991) 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (20014508)
上岡 弘二 東京外大, AA言語文化研究所, 教授 (80014512)
|
研究分担者 |
斉藤 美津子 大東文化大学, 国際関係学部, 非常勤講師
西尾 哲夫 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助手 (90221473)
林 徹 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教授 (20173015)
羽田 亨一 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教授 (90092460)
家島 彦一 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (90014472)
中野 暁雄 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (70014470)
上岡 弘二 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (80014512)
川瀬 豊子 樟蔭女子短期大学, 専任講師 (10195092)
柘植 洋一 金沢大学, 文学部, 助教授 (50092276)
蔀 勇造 東京工業大学, 工学部, 助教授 (90126079)
|
研究期間 (年度) |
1989 – 1991
|
研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
|
配分額 *注記 |
44,000千円 (直接経費: 44,000千円)
1991年度: 18,000千円 (直接経費: 18,000千円)
1990年度: 16,000千円 (直接経費: 16,000千円)
1989年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
|
キーワード | イスラム / 異文化接触 / 定期市 / 常設市 / 市ネットワ-ク / 多言語使用 / 交易ル-ト / 市場圏 / 市商人 / 家畜市 / マ-ザンダラ-ン |
研究概要 |
イスラム圏の各地における定期市の分布状況を広域的に調査すると共に、それぞれの地域で開かれる定期市の持つ特徴を明らかにした。また、定期市を通して見られる地域社会での異文化接触の様相に関する資料を、言語学、歴史学、民族学の立場から、それぞれ収集した。常設市に関しては、各市の構造と機能に加え、その立地条件(地理的・生態的)及びそこに出入りする商人、職人、芸人、遊牧民などの人間集団の相互接触の諸相を、現状及び歴史的変遷の両面から調査した。各調査地域での活動は、以下の通りである。 1.シリア[永田,斉藤担当]:(1)北部シリアの都市アレッポを中心とした[アレッポ市場圏]を想定し、その市場圏内の生態的条件と定期市の分布及び市日、商品、そこに出入りする人間集団の接触の諸相に関する実態調査を行った。(2)同市場圏の性格と機能の歴史的変遷を明らかにするために、18世紀に時期を限定して同市場圏と伝統的国際貿易との関係、商人やトルコ系・クルド系・アラブ系遊牧民の役割、国家による市場圏の管理などに関する歴史文献(イスラム法延文書、オスマン中央政府文書など)を収集した。 2.トルコ[永田,家島,林,上岡,羽田担当]:(1)西部トルコの都市イズミルを中心とした「イズミル市場圏」を想定し、市場圏内の生態的条件と定期市の分布、市日、商品、そこに出入りする人間集団の接触の諸相に関する実態調査を行った。(2)同市場圏の格性と機能の歴史的変遷を明らかにするために、18世紀に時期を限定して、同市場圏と伝統的国際貿易との関係、国家による市場圏の管理などに関する歴史文献を収集した。(3)中部トルコの「ボル市場圏」おいて、現代の定期市の分布・市日を調査し、定期市が地域住民の日常活動とどう関わるかを調査した。(4)「ボル市場圏」において、同地域内の方言分布調査を行い、定期市ネットワ-クと同地域における言語活動との関連についての資料を得た。(5)トルコ国内の定期市の分布状況の概略を知るため、イスタンブルからアンタキアまでの地域、特に南トルコの隊商ル-ト上にある定期市を調査した。 3.チュニジア・マルタ島[家島,中野担当]:(1)チュニジアおよびマルタ島の全域にわたる定期市ネットワ-クを確認し、その実態調査を行った。(2)同地域の市の活動に関する歴史文献資料(写本)等を収集した。 4.モロッコ[中野担当]:(1)モロッコ南部ス-ス地方の山村における週市の社会学的・民族学的調査を行った。(2)モロッコ中部アトラス地域の農村で見られる週市の社会学的・民族学的調査を行った。(3)同地域で話されている方言アラビア語とベルベル語の言語調査を行い、両言語の市における相関関係を調査した。 5.エジプト[家島,西尾担当]:(1)都市内ハ-ラ(地区)および都市周辺部に成立する近代型定期市とそのネットワ-クについての実態調査を行った。(2)市の活動に関する歴史文献資料(写本)および文書・統計資料を収集し、市の歴史的変遷過程を探った。(3)シナイ半島において遊牧民を対象に、物流及び人間の移動(婚姻によるものも含む)を通して見た、各部族の上下関係を含む社会関係と、それに応じて市及び物品交換の場で見られる言語活動の状況について、物品の基礎語彙の異同に焦点をあて、実態調査を行った。 6.イラン[上岡,羽田,家島,林担当]:イランにおいては、ザクロス山脈越えの伝統的隊商ル-トにおける定期市の分布状況と、市における各種人間集団の相互接触の諸相を調査する予定であったが、イランに入国した際テヘラン空港においてイラン情報省職人に旅費および調査研究諸費を押収され、早期の出国を強要されたため帰国を余儀なくされた。これによりイランでの調査が遂行不可能となった。しかし、本調査は広範囲なイスラム地域を比較することを目的としており、しかもザクロス山脈と極めて類似した生態系、歴史的伝統を持つ南トルコの隊商ル-トの調査結果から、イランでの調査の欠落を補うことができるものと確信しており、イランにおける未執行部分が全体に及ぼす影響は軽微なものと考えられる。また、押収金については、拉致・監禁されかねない状況下で再三返還を要求し、善良な管理をすべく最大限の努力を行なった結果一部が返還された。
|