研究分担者 |
タウフィック アブドゥラ インドネシア科学院, 上級研究員
オマル ファルク マラヤ大学, 文学部, 助教授
レスリ バウソン フィリピン大学, 文学部, 教授
ニティ イヨウシリオウオ チェンマイ大学, 文学部, 教授
奥平 龍二 東京外国語大学, ビルマ科, 教授 (30143621)
石井 米雄 上智大学, アジア文化研究所, 教授
河井 明宜 京都大学, 農学部, 講師 (90195024)
五十嵐 忠孝 京都大学, 東南アジア研究センター, 助教授 (30107510)
加藤 剛 京都大学, 東南アジア研究センター, 助教授 (60127066)
土屋 健治 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (60009701)
海田 能宏 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (00026452)
福井 捷朗 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (10027584)
AEUSRIVONGSE Nidhi Faculty of Arts, Chiengmai University
TAKAYA Yoshikazu Center for Southeast Asian Studies, Kyoto University
ABDULLAH Taufik LIPI, Indonesia
FAROUK Omar Faculty of Arts and Social Sciences, University of Malaya
BAUZON Leslie Faculty of Arts, University of the Philippines
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研究概要 |
本調査計画の第1の目的は東南アジアの都市形成に及ぼした「外文明」の役割を,歴史学的調査に実地調査の成果をつみ重ねることにより明らかにすることである。インド文明,イスラ-ム,西欧植民地の影響に調査の主点をおき,ネットワ-クの形式,宗教・法観念の受容と変容,都市圏の成立と都市文化の展開などを明らかにすることを試みた。第2の目的は,都市から農村世界へ拡大していく都市圏域の諸様相を,都市成立の技術的体系,人口移動,文化シンボル等について明らかにすることである。これらのいずれにおいても,交易都市が調査の主対象となり,また東南アジアと外文明の比較に留意した。 第1年度においては調査チ-ムは以下のグル-プに分かれて研究を遂行した。 (1)石井,吉川,奥平,ニティの4名は,タイ,ビルマ,マレ-シア,南インドの伝統的王都ないし交易都市を調査地とし,古文書と碑文の閲覧,解読,ききとり調査を行ない,あわせて関連資料の収集を行なった。また石井は,ロンドンにおいても,公文書館において,タイ王国に関する資料の収集を行なった。 (2)坪内,高谷,土屋,加藤,アブドゥラ-の5名は,インドネシア,マレ-シア,タイの交易都市を調査地として,都市の国際的ネットワ-ク,都市フロンティアへの移動,文化の伝播と波及について,歴史的な展開を考慮しつつ資料収集,定着調査,ききとり調査を行なった。また,坪内,高谷,土屋は東南アジア型交易都市との比較のため地中海沿岸地域の調査を行なった。 (3)海田と河合は,バンコクおよびカルカッタを主対象として,都市成立のインフラストラクチャ-の比較研究,とくに水系と水資源の利用,労働力調達のネットワ-クについての調査を行なった。 (4)福井,五十嵐,西井,オマルファルクの4名は,バンコクとジャカルタを調査基地として,これらの巨大都市圏の生産体系,生活空間,観念体系(とくに宗教的複合性)の諸側面について中期の定着調査を行い,あわせて関連資料を収集した。 上述の調査によって,東南アジア型都市文明の形成の特質が,インド文明圏,イスラム文明圏,地中海文明圏などとの比較において明らかにされ,さらに海域世界のネットワ-クの東南アジア的特性に関して,その非定形性に着目する新しい視点が得られた。 第2年度においては,第1年度において収集した資料を整理,分析する作業を行なった。調査チ-ムは以下のグル-プに分かれて作業を行なった。 (1)石井,奥平,ニティはとくにタイ,ビルマ,南インドの王権秩序の問題を中心に収集資料の分析を行なった。ニティはバンコクにおいてこの問題にかゝわる補足調査を実施した。 (2)坪内,高谷,土屋,加藤,アブドゥラ-は,とくにインドネシア,マレ-シアの都市を中心とする収集資料の整理と分析に従事した。 (3)海田と河合は,タイ国および南インドにおける都市成立のインフラストラクチャ-に関する収集資料の整理と分析を行なった。 (4)福井,五十嵐,西井,オマルファルクは,大都市圏の生産体系,生活空間,観念体系(とくに宗教的複合性)の諸側面について,収集資料の整理・分析を行なった。とくにオマルファルクはバンコクおよび南タイにおいて補足調査を実施した。 以上に加えて,同一中核メンバ-により構成されていた先行調査に参加した吉川利治(大阪外大)も,他業務による海外出張を終して帰国し,実質上のメンバ-に復帰した。また研究代表者坪内は,インドネシア,マレ-シア,タイ国を歴訪して,東南アジア地域の研究分担者との連絡を行なった。 以上の整理作業を通して,各研究者あるいはグル-プは報告の作成にとりかゝり,その一部は英文報告書としてまとめられた。
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