近代中国の農村社会における民衆運動に関する総合的研究

• 研究課題/領域番号: 01041065
• 研究種目: 国際学術研究
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 学術調査
• 研究機関: 山口大学
• 研究代表者: 佐々木 衞 (1990) 山口大学, 人文学部, 助教授 (60136398); 佐々木 衛 山口大学, 人文学部, 助教授
• 研究分担者: 任 明 山東大学, 歴史系, 副教授 ; 程 〓 中国人民大学, 党史系, 教授 ; 陳 振江 南開大学, 歴史系, 教授 ; 阮 芳紀 『中国社会科学』, 副編審 ; 路 遥 山東大学, 歴史系, 教授 ; 佐藤 公彦 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (10178717) ; 座間 紘一 山口大学, 経済学部, 教授 (30034870) ; 小林 一美 神奈川大学, 外国語学部, 教授 (70076595) ; 久保田 文次 日本女子大学, 文学部, 教授 (20060650) ; REN Ming Associate Professor, Faculty of History, Shandong University. ; CHENG Xiao Professor, Faculty of Communist Party's History, China People's University. ; CHEN Zhen-jiang Professor, Faculty of History, Nankai University. ; YUAN Fang-ji Vice-editor, "SOCIAL SCIENCES IN CHINA" (China Academy of Social Sciences)
• 研究期間 (年度): 1989 – 1990
• 研究課題ステータス: 完了 (1990年度)
• 配分額: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円); 1990年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円); 1989年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
• キーワード: 村落の社会生活 / 家族・親族集団 / 民間信仰 / 民間宗教 / 農家経済 / 階層構造 / 商会 / 自治組織

研究概要

1、調査の目的:近代中国社会の構造と民衆意識に関する資料を、彼らの体験した社会生活の中から収集することであった。調査の項目は、村落の社会生活と行政、家族経営と階層構造、家族・親族の集団構造、武術集団と宗教結社の活動、民間信仰と年中行事、祭祀・娯楽、あるいは商人の商業活動、商会と行政組織、地域経済構造など、広範囲に及んだ。当時の社会生活の基本構造を研究するのに必要な信頼できる資料を集めることができたと考える。
2、調査日程:本調査研究(1989年度・1990年度)は、1988年度の調査に続くものであった。1988年度は、山東省の二村の本調査を実施した。また、北京・天津地区の予備調査を実施して、調査の可能性を検討した。1989年度は、北京市房山区紫草塢郷元武屯と肖庄、天津市静海県独流鎮と王口鎮の本調査を実施した。二地区を調査地点に選定したのは、山東地区の調査資料と北京・天津地区の調査資料とを比較することで、華北地区の社会構造と民衆文化の多様性と同質性とを検討できると考えたからである。調査日程は、以下の通りであった。
<1988年度調査>
1988年8月20日から9月18日 北京・天津地区調査グル-プ
8月20日 日本側研究者北京着、調査の方法を検討
8月25ー31日 北京市房山区にて、房山区の歴史・社会概況調査
9月1ー9日 静海県及び独流鎮の社会歴史概況調査
9月13ー17日 北京人民大学にて資料収集と整理
1988年10月15日から11月23日 山東調査グル-プ
10月15日 日本側研究者北京着、中国側研究者と合流
10月19ー20日 調査項目と調査方法の検討
10月21ー31日 平原県蘇集郷前槓子李庄の社会調査
11月3ー12日 鉅野県薛扶集郷曹庄の社会調査
11月17ー22日 北京にて、資料の取りまとめの方法と、1989年度調査について検討。
<1989年度調査>
1989年12月20日から1990年1月30日
12月21ー21日 北京にて、調査項目と方法に関して検討
12月23ー30日 北京市房山区京武屯の社会調査
1月2ー14日 静海県独流鎮の社会調査
1月15ー17日 南開大学にて、論文集の刊行と資料整理の方法を検討
1月21ー24日 北京市房山区肖庄の社会調査と元武屯の補足調査
1月25ー29日 調査資料の整理
3、研究成果:得られた資料は広範囲に及び、しかも、近代中国の民衆生活と社会構造を理解するのに貴重なものばかりであると考える。しかし、経費の制約から全てを『報告書』に掲載することができなかった。関心を持つ研究者が利用できる形式に整理して、『資料集・近代中国の社会と民衆文化』(東方書店、1991年予定)として刊行する計画である。また、調査から得られた智見と資料にもとづいて、共同研究者による論文集『中国の家・村・神々ーー近代華北農村社会論』(東方書店、1990年)を出版した。
4、残された課題:本調査研究を総括する時になって、理論的に整理された命題群、あるいはモデルを提起するところまでには到底至ることができないでいる、ということに改めて気がついている。近代の中国社会に生きる民衆の生活と文化をどの様に解釈したらよいか、中国史における「近代」の歴史的位置づけをどの様に考えるかといった問題を、再度、根底的に考え直す必要があるのではないか、と考えている。「非西欧後発社会」の近代化と現代化に関する理論的な枠組みの再検討をめざす、新たな研究の発展の必要を強く感じている。

研究成果

• [文献書誌] 佐々木 衞: "近代華北社会の宗教活動と担い手" 文学会志. 41. 51-71 (1990)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 路 遥・佐々木 衞編: "中国の家・村・神々ー近代華北農村社会論ー" 東方書店, 203 (1990)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 佐々木 衞編: "近代中国の社会と民衆文化" 東方書店, 384 (1991)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] SASAKI, Mamoru: "Religious Activities and Actors in Modern North China." Journal Of The Literary Society. 41. 51-72 (1990)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] LU, Yao & Mamoru SASAKI: Toho : Books on China. Chinese Family, Village, And Deities., 1-203 (1990)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] SASAKI, Mamoru: Books on China. Society And Folk Culture Of Modern China., 1-384 (1991)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より