研究課題/領域番号 |
01041067
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
大野 正夫 高知大学, 海洋生物教育研究センター, 教授 (10036543)
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研究分担者 |
野呂 忠秀 鹿児島大学, 水産学部, 講師 (20117534)
中原 紘之 京都大学, 農学部熱帯農学研究科, 助教授 (80026567)
山本 弘敏 北海道大学, 水産学部, 助教授 (00001610)
増田 道夫 北海道大学, 理学部生物学科, 助教授 (20091499)
吉田 陽一 京都大学, 農学部熱帯農学研究科, 教授 (10026487)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
1989年度: 6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
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キーワード | 海藻 / 藻類 / 分類 / 生態 / フィリピン / ルソン島 |
研究概要 |
この研究課題の調査は、すでにフィリピン、ビザヤス地区(特にセブ島とパナイ島)、パラワン島、ミンダナオ島の沿岸について行われて、調査報告書が出版されている。平成元年度は、主にルソン島沿岸について、平成元年10月〜平成2年2月の期間に、日本人研究者9名、フィリピン大学2名、調査補助員(大学院生)2名のメンバ-で行われた。調査項目は、環境から分類、生理、資源生態まで多分野にわたっているので、項目別に成果をまとめる。 1.沿岸の環境と植物プランクトンの生態:マニラ湾、ルソン島南部、パナイ島のイロコスノルテ沿岸の水温、塩分などの測定と植物プランクトンの採取を行い、試料はホルマリン固定して持ち帰った。一般に水温は、28℃前後で、塩分は30〜33%程度、透明度は、数m程度であった。しかしマニラ湾などのミドリイガイ養殖場では、透明度は1m前後で低かった。プランクトン組成の詳細な検討は、まだ行われていないが、多くの湾奥部では、過栄養特有の種類が確認された。 2.熱帯地方の海藻群落の維持機構:ルソン島の西岸海域、20地点で、ホンダワラ群落、海藻群落を含む種々の特色のあるところで海水をフィルタ-ろ過し、海藻胞子を着生させ、出現する種類を調べることにより群落構成の過程を明らかにした。 3.紅藻類、マツモ科とオゴノリ科の分類学:マツモ科の植物については約300点の乾燥標本と液浸標本20点、化学分析用の乾燥標本を約5Kg(20点)を得た。このグル-プでコケモドキ属2種、ヒオドシグサ属1種、イドグサ属1種、ソゾ属7種、トゲノリ属1種、ヤナギノリ種1種が確認され、これらの多くは新産種として記載されるであろう。なお化学物質の比較から系統的意義を検討する。寒天原藻のオゴノリについては5種について生殖器官のついたものを採取でき、その培養を続けている。これらの試料により形態学、系統的考察が期待できる。 4.ホンダワラ科植物の分類:ルソン島南部、北部で、それぞれ50Kg(乾燥重量)の試料を得た。熱帯域のこのグル-プは、分類学的研究が進んでいず、種の確認が困難なものが多いが、約20種ほど採取したと思われる。帰国後外部形態や変異等を調べ、他地域のものとも比較して、フィリピン産ホンダワラ科植物の種を明らかにする。 5.海草類の分類・生態:パラワン島、ルソン島中部・南部の海産顕花植物(海草)群落を調査し、特に成熟期の確認、形態の変異等調べた。乾燥標本は、約100点持ち帰り、分類学的考察を行なう。 6.海藻群落の生態:ホンダワラ群落について、密生したところを、ひとつの海域3点計12点を選び調査を行なった。これらの結果から、各海域のホンダワラ類群落の構造的特性、生活史の特性と資源量が明らかになる。なお多くの海藻について生態写真の撮影を行なった。 7.海藻類の成熟現象の研究:熱帯域の海藻類は水温、日長時間等の関係で、特長的な成熟をするので成熟器官の確認を行なった。 8.キリンサイ、イワズタ、オゴノリ養殖の実態の調査:フィリピンでは、この3種の海藻養殖が行われている。今回の調査で、養殖法は基本的には類似したところがあるが、養殖場の環境にあわせて、いろいろと工夫がこらされていることが明らかになった。しかし、食害や病気の発生が問題になっており、今後安定した生産のためには、生態学的な知識による養殖管理が必要である。 9.海産藍藻の分類学:サンゴ礁リ-フ内及びマングロ-プ内のおいて約80点の試料を得た。目下研究中であるが、この地域の藍藻類の報告はきわめて少ないので、多くの新産種が期待できる。 10.海藻フロラのリスト作成:上記の各研究分担者の主テ-マの他に、調査地域で得られた海藻標本より、ルソン島地区の海藻フロラリストを完成させる。
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