研究課題/領域番号 |
01041076
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
大田 昌秀 琉球大学, 法文学部, 教授 (50044813)
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研究分担者 |
保坂 廣志 琉球大学, 法文学部, 講師 (90209221)
宮城 悦二郎 琉球大学, 法文学部, 助教授 (60044864)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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キーワード | 沖繩占領 / 米国民政府 / 高等弁務官 / ライシャワ-大使 / 沖繩占領研究会 / カ-ル・ケイセン / 米陸軍大学図書館 |
研究概要 |
本研究の目的は、日本占領研究の不可分な一部たるべき沖繩占領について米国政府および米軍政府、琉球列島米国民政府関係の文書・資料を収集するとともに、沖繩統治に直接・間接に関与した人々の証言を通して沖繩占領の実態を体系的かつ総合的に明らかにし、それを日本(本土)占領研究の中に正当に位置づけることにある。 この目的を達成するため昭和62年より3か年にわたり米本国において現地調査を行った。昭和62年度は、ワシントンを中心にボストン、ニュ-ヨ-ク、サンフランシスコ等で調査を行った。主な収獲を上げれば、ボストンではケネディ大統領記念図書館で1960年代初期の大統領特別補佐官カ-ル・ケイセンを団長とする沖繩調査団による「ケイセン報告書」を収集したこと、さらにライシャワ-元駐日大使とインタビュ-ができたこと等である。さらに、ワシントンの米国立公文書館では、対日講和条約関係文書並びに1950年代に米国務省と国防総省間においてなされた沖繩返還論議に関する資料を大量に入手できた。また、ホノルルでは、現地で発刊されている邦字新聞、英字新聞から沖繩関係記事を収集するとともに、ハワイ大学図書館では「ホ-レ-文庫」蔵の沖繩関係文書を収集した。 昭和63年度の調査は、前年度調査で新たに資料の所在が確認された米陸軍大学図書館において、事前に複写機器の持込み許可を得て強力な資料収集を行った。同図書館には、琉球列島米国民政府の元高等弁務官たちの沖繩統治に関する貴重な証言資料が保存されており、これを収集するとともに、同校卒業生(陸軍将官級)の沖繩に関わる卒業論文ー沖繩の核問題に言及したものを含むーを入手できた。さらに、ニュ-ヨ-ク、サンフランシスコ、ホノルル市等では、その土地で発刊されている新聞社を訪問し、つとめて沖繩関係新聞記事の収集を行った。一方ワシントンでは、元米国民政府渉外局長を長年勤めたエドワ-ド・E・フライマス氏を訪問、多くの未公開資料を収集することができた。 平成元年度は、予算の都合から研究代表者のみの現地派遣となったが、従来にもまして定点観測ともいうべき最重要資料の調査、および資料収集にあたった。国立公文書館をはじめ米海軍図書館にも赴き、各省庁間での沖繩問題論議、さらに政策決定過程に関わる重要な資料を入手できた。こうした成果と並行して同年9月には、那覇市において全国の占領研究者を集め沖繩占領研究会を開催した。同研究会は、今後の日本占領研究のあり方に大きな問題を投げかけることにもなり、本土マスコミでも広く全国に報じられた。 第一次、同二次現地調査を終了したが、これからは本格的な収集資料の分析にあたるとともに、関係研究者とも協議して今後の全般的な研究の総括に入っていくつもりである。近い将来研究代表者、同分担者の研究成果を集大成して、可能な限り和英両文で本にして研究者の参考に供する計画である。
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