研究課題/領域番号 |
01041080
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 流通経済大学 |
研究代表者 |
寺阪 昭信 流通経済大学, 経済学部, 教授 (30008643)
|
研究分担者 |
黒木 英充 東京外国語大学, アジアアフリカ研究所, 講師 (20195580)
内藤 正典 一橋大学, 社会学部, 助教授 (10155640)
生田 真人 大阪市立大学, 経済研究所, 助教授 (40137021)
堀川 徹 京都外国語大学, 外国語学部, 助教授 (60108967)
中林 一樹 東京都立大学, 理学部, 助教授 (80094275)
|
研究期間 (年度) |
1989
|
研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
|
キーワード | トルコ / アンカラ / 都市図 / 都市発達史 / 都市計画 / 都市空間構造 / 商業集積 / 定期市 |
研究概要 |
本研究はトルコの諸都市について19世紀末から現在にいたる、近代および現代の都市形成期における都市空間の拡大とそれにともなう機能の変化について現地調査を行うことを目的としていた。この研究は昭和62年度に実施したエクステンシブな調査に引き続くものであり、前回の現地協力者であるプラット・オトカン教授およびル-シェン・ケレッシュ教授を始めとするアンカラ大学や、訪れた各市の都市計画部局を中心に積極的な協力を得ることができ、予期以上の成果を上げることができた。また、在アンカラ日本大使館も大使以下、スタッフが本調査を側面から支援してくれた。 1)本年度調査した都市は次のとおりである。アンカラ、イスタンブル、イズミ-ル、エディルネ、バルケシ-ル、ガジアンテップといった大都市である。これらの都市では新旧の大縮尺の都市図が入手できた。それらをもとにして、すでに収集してある地図とともに時系列的に整理して比較検討することにより都市発展の過程を追うことができるので、これから分析をするところである。 2)とくに、アンカラ、イスタンブル、イズミ-ルといった大都市では1960年代から1970年代にかけてスクオッタ-セットルメントが急速に拡大しており、トルコの大都市問題のなかでも最も重大な課題となっている。各年代の地図を時系列的に分析することにより、それらの地区を年代的に確定することが可能となった。さらに、大都市の人口急増がもたらす住宅問題の解決策の一つとしてコ-ペラティブ方式による集合住宅の建設が積極的に進められているが、それらの現状についても知ることができた。 3)アンカラについては、この大都市の内部構造を明らかにするための、いくつかの基本的な社会経済的指標に関する小地域単位のデ-タを入手することができた。これはもともと2015年を計画目標とする大都市圏整備計画の一環としての交通計画のために作られたものであるが、従来得ることの出来なかった詳細な資料ゆえに利用価値が高い。さらにいくつかの都市計画にかかわる基本資料および統計資料を得ることができた。今後、それらの解析を行うことにより、この都市の空間構造を明確にするとともに、その急速な発展がもたらしたさまざまな問題も明らかにすることができると期待される。 4)都市の空間構造と機能を明らかにする一環として、本年度はとくにアンカラの商業構造について詳しい調査を行った。都心部の中心商店街と郊外住宅地との商業地域の違いに注目し、(1)旧市街地地区のウルスにおける伝統的な商業集積の形態とそのなかでの機能分化の調査、およびそこでの新たな動向(再開発)を調べた。(2)新市街地地区の代表的な近代的商業地域としてクズライ、カバックデレをとりあげ、ショッピングセンタ-を中心とした新しい商業集積、商業開発の展開とその実態の調査、(3)商店街を補うものとして市内各所で定期的に開かれている伝統的な青空市(パザ-ル)の調査を2カ所で行った(クチュックエサット、チャンカヤ)。これは主として青果物を扱う市であるが、その他の日用雑貨品を扱う店も出る定期市(週市)で、住民の生活に密着したきわめて重要な商業形態である。規模、屋台の空間配置、移動商人の居住地、ロ-テ-ション、取り扱い商品の種類、仕入れ先、価格などについて計測と聞き取り調査を行い、その特色を明らかにすることができた。 以上の調査で得られた成果から、とくにアンカラを中心として、トルコの大都市の成長の時系列的分析、大都市の社会経済的な内部空間構造および近代化によって変貌しつつある商業構造とその空間配置について分析し、今後とりまとめていく予定である。
|