研究分担者 |
EL HADJ H・A 国立アウレフ高校, 教授(アルジェリア), 教授
BOUNAGA N アルジュー大學, 理學部(アルジェリア), 教授
PAPOLIーYAZD メシェド大學, 文學部(イラン), 教授
宋 郁東 新疆生物土壌沙漠研究所(中国), 研究員
夏 訓誠 新疆生物土壌沙漠研究所(中国), 所長
目崎 茂和 三重大學, 人文學部, 教授 (80101187)
片倉 もとこ 国立民族學博物館, 第二研究部, 教授 (60055308)
木本 凱夫 三重大學, 生物資源学部, 助教授 (30024590)
岡崎 正孝 大阪外国語大學, 外国語學部, 教授 (90030163)
石川 日出志 明治大学, 文学部, 講師 (40159702)
吐内 敦子 明治大學, 文學部, 助手 (50194882)
杉原 重夫 明治大學, 文學部, 教授 (90061978)
YAZDI M. H. Papoli Meshed University, Faculty of Literature
SUNG Yi-Tung Xinjiang Institute of Biology, Pedology and Desert Research
XIA Chung-Jeng Xinjiang Institute of Biology, Pedology and Desert Research
MEZAKI Kazushige Mie University, Faculty of Humanities and Social Sciences
HADJ H. A. EL Lycee Aoulef, Adrar (Algeria)
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研究概要 |
2年の間に,アルジェリア・イラン・モロッコ・スペイン・中国・フランスなどの国において、現地調査を行い,それらの成果をまとめつつ研究をすすめてきた。そこで、まず地域別の統括を行い,最後に,全体のまとめを記すことにする I)地域のまとめ (I)アルジェリア…サハラのTidikelt地方の,In Belbelオアシスを中心に,2回にわたって,現地調査を行った。すでに,80'/81年代に地圖を作成しておいたので,集落の移動,新しいフォガラのくっ削,深井戸工事などの最近の変化を,新しい地圖をつくりながら,正確に記載することができた。又,10年間の人口の変化,オアシスへの太陽電池の導入など,予期しなかった社会変化を記録できた。又,現地及びフランスの研究者との協力体制も確立し,カナ-ト水利体系を基礎にした典型的なオアシスの構造の変化・発展を,長期的に觀察し,できれば,オアシスの発展のためになる研究協力の可能性を,予見できたらと思う。更に,入手したTooatの百科事典は,古アラビア語の解讀が進めば,多くの新事実を発見できよう。 (II)イラン…小堀のホラサン調査,岡崎の一般調査,パポリヤズディの訪日調査の三本が,一体となって,現イランのカナ-トの現状がつかめた。又,中国での討論集会で,イランの研究者から,多くの技術資料を得た。これらの成果の一部は印刷中であるが,何れイランのカナ-トを中心に,国際学術研究を始める予定である。 (III)モロッコ…Khettaraとよばれるモロッコのカナ-トの〓査及び蒐集資料により,モロッコ南部におけるカナ-トの現在的意義を再確認することができた。Khettaraについては,地元の水利局でかなり熱心な保全が行われてきており,將来とも,研究支流の途は,十分に開かれている。 (IV)スペイン…具体的には,Mallorca島のCaneteとよばれるカナ-トを調査。又 Barcelana大学において,科学史研究所などで,史料を収集した。モロッコとことなり,現在では使用してないものが多いが,イベリア半島とマグレブとの間の,技術・文化の伝播の真で,両者を一体に考えた文献調査を再整理する必要を感じた。特に この地域の研究者は,イランやアラブ諸国のカナ-トについての実地見聞者が少く,少くとも討論会の形式での支流が必要と考えられる。とにかく この地域の研究は,わが国で最もおくれた分野であり,Caneteと,他のカナ-トとの比較研究についても,長期の計画が必要である。 (VI)中国 中国は,本計画のなかで,力真で置いた場所であり,坎井の歴史・現状・將来について,現地研究・史前収集・討論会などを通じ,徹底的に調査を行った。広域調査としては,古坎井の存在(カシュガル郊外)を実地調査した他,坎トルファン盆地全域についての主要坎井の概査を行ったことは,カナ-ト研究史上企期的な事である。又,五道林,治沙隊の二つの集落の,坎井水利体系と,集落との関係地圖を作成したが,このような仕事は,中国でも始めてである。更に,坎井を画いたといわれる岩壁画の発見や,坎井の保存修理の遂行状態の觀察など,予期しなかった体験もあった 坎井の起源については,中華思想の中国側と若干意見を異とするが,イランの調査などを含めて,今後の研究課題である。又,中国科学院をはじめ各方面の関係機関及び個人と,完全な協力体制が確立し,何時でもどのような細目でも,研究再開できる状況にあることを附記したい。 (VII)アラブ首長国連邦…短期間ではあったが,AINオアシスを中心にFujjaraとよばれるカナ-トが,保存利用されており,又特別の注意が拂われていることを確認した。オマ-ンなどともにアラビア半島にのこるカナ-トは,今のうちに記録の必要性を感じる II)全体のまとめ…広域の調査で肉体的にはきついものがあった。學問的には,事例研究の着実なつみ重ねができ,將来の國際研究のネットワ-クが略完成し,成果の一部は,昨年の国際討論会の報告書及び,近刊の第4報告書で発表する。この研究テ-マは,厖大な時間と空間を必要とするので,何れきちっとした報告が終り次第,それぞれの事例研究が再開されることを望んでいる
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