研究課題/領域番号 |
01041094
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
角田 忠一 国立天文台, 地球回転研究系・重力部門, 教授 (50000162)
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研究分担者 |
川口 則幸 国立天文台, 電波天文学研究系・超長基線干渉計天体物理部門, 助教授 (90214618)
佐藤 克久 国立天文台, 地球回転研究系・電波地球計測部門, 助手 (90178715)
藤下 光身 国立天文台, 地球回転研究系・電波地球計測部門, 助手 (60141967)
久慈 清助 国立天文台, 地球回転研究系・電波地球計測部門, 助手 (40132675)
原 忠徳 国立天文台, 地球回転研究系・電波地球計測部門, 助教授 (60000171)
笹尾 哲夫 国立天文台, 地球回転研究系・電波地球計測部門, 教授 (20000177)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
1990年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1989年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
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キーワード | VLBI / VLBIバックエンド / 電波天文学 / アンテナ / 相関器 / 電波伝播 |
研究概要 |
VLBI(超長基線電波干渉計)は国際地球回転事業(IERS)、メ-ザ-線スペクトル電波源観測による宇宙における天体の距離測定及びプレ-ト運動の実測等さまざまな分野でその威力を発揮し始めている。このような国際的発展の中でわが国においては地球回転・基準座標系用VLBI計画(VERA)を推進している。本研究の目的は既にVLBIシステムの運用を行っている海外観測局において高精度化に必要な調査を行い、国際共同観測網との互換性を保ちつつ超高精度VLBIシステムの確立をめざすものである。本調査研究では国際間のハ-ドウェアの互換性、特に相関処理が可能という条件、の調査研究に重点をおいた。これら調査研究を実施するため次の5班を設け、1)アンテナ及びVLBIシステム調査、2)VLBIハ-ドウェアシステム及び相関装置の調査、3)大気遅延調査、(以上平成元年度) 4)VLBIバックエンドK4による国際共同観測方式調査及び 5)VLBIバックエンドの相互互換性及び新相関器の研究調査(以上平成2年度)を行った。また関連する課題についての国内調査も行った。 調査国はVLBI及び電波天文学観測天文台のあるオ-ストラリア、アメリカ、カナダ、ドイツ、スウェ-デン、及びイギリスの各国である。 主な調査結果は 1.アンテナ及びVLBIシステム オ-ストラリア・ドイツ・イギリス・アメリカ・カナダの各国における大型アンテナを調査した。現在のアンテナを改良を加えないまゝ位置計測に用いると風による変形が大きく問題があること、寒冷地ではモ-タ-・ギアによる駆動ではトラブルが多くあること、鏡面の着雪は想像していたより問題が少ないこと等がわかった。また地球回転研究のためには、アンテナ基準点の変位やアンテナ光学系の変形が問題となる。この点に関しては既存のアンテナではドイツ、ウエッツエル局を除いて十分な考慮が払われていないことがわかった。また、アメリカ国内においてメ-カ-の調査を行った結果、今後のアンテナ設計に有益な情報を得ることができた。 2.VLBIハ-ドウェアシステム及び相関装置 特に次世代VLBIをめざす高周波数帯域を考慮し、フロントエンド部、周波数標準器(水素メ-ザ-)、及び位相較正装置の調査を行った。また次世代をめざす光ファイバ-電送システムの開発状況の調査を行った。ボン大学及びアメリカ海軍天文台においてIRISーPデ-タの相関処理を行っているが、観測局の増加に伴って相関処理装置の拡充にせまられている。この点はVERAの相関処理装置を設計する上で考慮する必要がある。 なお、VLBI記録装置は多様化が進みそうな状況にあり、これら相互の互換性について具体的な取り組みが必要であると思われる。 3.大気遅延の調査 対流圏内の水蒸気による電波伝播遅延は晴天時水蒸気量が少ない場合、水蒸気放射計で1cm以下で決定できることがわかった。しかし曇天及び降雨時、水蒸気及び水が多量に含まれる場合、低周波数の電波・音波共用レ-ダ-等の利用の研究が有効であることがわかった。また、降雨中の電波伝播遅延を降水量から求める方法の研究を行った。 4.VLBIバックエンドK4による国際観測 わが国で開発された、小型で可搬性の高いVLBIバックエンドK4をドイツ航空宇宙研究機構のワイルハイム人工衛星追跡管制局の30mアンテナへ設置し、国立天文台野辺山宇宙電波観測所の6mアンテナのMark3と平行観測を行った。この観測によりK4とMark3の互換性を確認できたが、観測デ-タの相関処理における観測記録の書式の不備や不統一が明らかになり、観測時の諸情報の整備が今後の課題として確認された。又この観測により、ドイツと日本間の初の東西国際基線での観測結果が得られ、今後の汎地球的な国際観測網整備への足掛かりが得られた。 5.新しいVLBIバックエンドMark4及びK4の相互互換と3A及びMark4相関器の研究 Mark4バックエンドは、現在アメリカはヘイスタック観測所で積極的に開発が進められており、旧来のMark3及びMark3Aシステムとはそのままで互換性が無いため、新たにMark4互換の機能をk4へ付加する必要がある。Mark4相関器は、Mark3及びMark3Aバックエンドで記録された観測デ-タを相関処理するMark3A相関器の倍速の処理スピ-ドを持つもので、現在ヘイスタック観測所で構想段階のものである。Mark3A相関器が定常的に運用されているアメリカ海軍天文台では、処理を待つ観測テ-プの在庫管理が円滑な相関処理を維持するために重要である。
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