研究課題/領域番号 |
01041095
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 高エネルギー物理学研究所 |
研究代表者 |
高崎 稔 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助教授 (70044782)
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研究分担者 |
柴田 徳思 東京大学原子核研究所, 放射線管理室, 教授 (80028224)
鈴木 健訓 高エネルギー物理学研究所, 放射線安全管理センター, 助教授 (40162961)
近藤 健次郎 高エネルギー物理学研究所, 放射線安全管理センター, 教授 (20004434)
家入 正治 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助手 (50192472)
田中 万博 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助手 (90171743)
小林 俊雄 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助手 (30186754)
今里 純 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助教授 (40107686)
中井 浩二 高エネルギー物理学研究所, 実験企画調整室, 教授 (40028155)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
1990年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1989年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 大強度陽子加速器 / ビ-ムライン機器 / ビ-ムハンドリング / 遠隔操作 / ロボット技術 / 耐放射線機器 / 放射線防護 / 大強度ビ-ムによる実験物理 |
研究概要 |
この二年間の海外学術調査において、十ケ所の欧米の大強度陽子加速器(500MeV以上)とビ-ムラインを含む実験室をつぶさに現地調査した。派遣研究者は、のべ16名(実数10名)に達し、大強度陽子ビ-ムをハンドリングする諸々の立場で知見を得た。調査した研究所は、米国ロスアラモス国立研究所(LAMPF)、米国ブルックヘブン国立研究所(BNL)、米国フェルミ国立加速器研究所(FNAL)、米国ロ-レンスバ-クレ-研究所(LBL)、カナダ国立中間子工場(TRIUMF)、英国スパレ-ション中性子実験施設・ラザフォ-ドアップルトン研究所(RAL)、フランスサチュ-ン研究所(SATURANE)、ドイツ国立原子核研究所(DESY)、スイス国立原子核研究所(PSI)、そしてスイス欧州国際原子核研究所(CERN)である。この他、国際会議が催された大学にも立ち寄っている。一方、この二年間我国高エネルギ-物理学研究所(KEK)の新しいカウンタ-ホ-ル、並びにそこでのビ-ムラインを建設しており、大強度陽子ビ-ムのハンドリングについての我々独自のアイデァとともに、上記調査結果を即応用することもできた。実績が問われるのはこれからであり、海外からも大きな関心を寄せられ、注目を受けている。 大強度陽子ビ-ムをハンドリングする要点は次の3点である。 (1)施設の設計・建設段階において、放射線被曝や空間線量率の低減化、ビ-ムライン機器のハンドリングの簡便化が考慮されいること。 (2)大強度陽子ビ-ムの照射に対して強く壊れない、つまり耐放射線素材の活用し、メインテナンス・フリ-のビ-ムライン機器を製作すること。 (3)万一の修理の際にも、遠隔にて、迅速にハンドルリングできる機構を各機器に持たすこと。 これらの具体的方策は陽子ビ-ムのエネルギ-や強度によって異なり、世界各地で諸々工夫されている。KEKの陽子加速器のエネルギ-は12GeVであり、10^<12>PPS(Protons,per second)のビ-ム強度のビ-ムラインは稼動中である。新しいビ-ムラインでは10^<13>PPS.つまりこれまでよりも一析強いビ-ムをハンドリングする。この機会に海外学術調査ができたことは意義深い。 今回調査した十ヶ所の加速器は二つに大別できる。一つは米国LAMPF、カナダTRIUMF、スイスPSI、英国ISIS・RAL等の1GeV以下の大強度中間子、中性子発生施設であり、もう一つは、米国BNL、米国FNAL、欧州CERNの中高エネルギ-陽子加速器である。我国KEKは後者に属する。しかし、低エネルギ-大強度加速器は、カナダTRIUMFのKAON・FACTORY計画で明らかなように高エネルギ-化を計っており、一方の高エネルギ-加速器は、KEK、BNL、FNALともに大強度化を計っている。まさに両者の歩み寄りが期待されている時に我々は海外学術調査を行った。 個々の加速器、陽子ビ-ムラインの紹介は割愛する。ここでは上記3つの要点について特徴点な加速器施設を概説する。 (1)施設構造としてはCERNのように同一フロアにて電磁石を補修できるようにした方策とPSI、TRIUMFのようにビ-ムライントンネルがない形状で電磁石を設置し、補修時には別途設けられたメインテナンスエリアに移動して実施する方策とがある。 (2)上記の構造から明らかなようにPSIでは、ほとんで補修のいらない電磁石作りを行なっている。製作費は嵩むが、放射線管理を含む維持が頗る安く容易による。もちろん耐放射線素材の開発等が最も進んでいるのはCERNであり、メインテナンスフリ-の電磁石の製作の面でもCERNは先進である。 (3)遠隔操作のマニュピレ-タ-ないしロボットの使用状況の面では米国LAMPFの万能知能ロボットの開発に対し、カナダTRIUMFの単能専用ロボットの開発に力を注いでいる点対比してみるとおもしろい。CERNでの電磁石に供給している電気、水、真空、制御線の速脱着システムは我々KEKでのシステムを考える際に、非常に参考になった。
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