研究課題/領域番号 |
01042007
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | がん調査 |
研究機関 | 名古屋大学 (1991) 名古屋市立大学 (1989-1990) |
研究代表者 |
大野 良之 名古屋大学, 医学部, 教授 (10160590)
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研究分担者 |
JOEDO Prihar インドネシア大学, 医学部地域医療学, 講師
MUCHILIS Ram インドネシア大学, 医学部・中央病院, 腫瘍外科医師
GUNAWAN Tjah インドネシア大学, 医学部・解剖病理, 乳腺病理主任
SANTOSO Corn インドネシア大学, 医学部・免疫研, 主任
久保 奈佳子 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (30178032)
渡辺 進 癌研究会附属病院, 外科, 外科医長
坂元 吾偉 癌研究会癌研究所, 病理部, 主任研究員 (80085620)
MUCHLIS Raml インドネシイ大学, 医学部中央病院腫瘍外科, 医師
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
14,500千円 (直接経費: 14,500千円)
1991年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1990年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1989年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
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キーワード | インドネシア / 日本 / 乳がん / ケ-スコントロ-ル研究 / 疫学 / リスク要因 / 臨床病理特性 / Breast cancer / Epidemiology / Caseーcontrol study / Clonicopathological study / Indonesia / Japan |
研究概要 |
昭和62ー63年度を準備期間、平成元ー3年度を研究実施期間として行なった本研究の主な目的は、(1)乳がん(インドネシア女性では死亡相対頻度第二位の悪性新生物)の臨床病理学的特徴を日本における乳がん症例と比較することにより明らかにすることと、(2)インドネシアにおける乳がんの発生(および発生関与)要因と疫学特性を明らかにするためのケ-ス・コントロ-ル研究を実施するとともに、我が国でも乳がんのケ-ス・コントロ-ル研究を企画・実施することであった。上記(1)と(2)についての研究実績の概要は以下の通りである。 1.臨床病理学的研究について:インドネシア大学中央病院腫瘍外科の乳がん手術例についての臨床病理学的調査と日本(癌研附属病院外科)における同様の調査よれば、インドネシア乳がん例はそのほとんどがvery late stage(Stage 1:2%,Stage 2:16%,Stage 3A:23%,Stage 3B:40%,Stage 4:19%)であり、日本の乳がん例はvery early stageである。このため、結果的に臨床病理学的特徴については相互比較性に欠ける状況となった。したがって、日本側の臨床・病理研究分担者はインドネシア乳がん症例の臨床病理学的調査資料の整備と検索・症例の予後調査方ての技術的側面について協力することになり、インドネシア側の臨床医(乳腺外科医)はケ-ス・コントロ-ル研究のための症例の把握と紹介、病理医は症例の病理組織診断の実施を主に分担することとなり、その任を遂行した。さらにインドネシア乳がん50例についてEstrogen Receptor(ER)の検討を行なった。その結果、72%がERーrichの乳がんで、中等度分化の乳がん患者の2/3以上がER(+)であった。インドネシア乳がんはほとんどの例で進行がんであるので、ERと予後との関連についてはさらに検討する意義はあろう。 2.インドネシアにおけるケ-ス・コントロ-ル研究について:症例と対照(症例1例に対し2例を設定)の直接面接による疫学情報の収集は順調に進み、平成4年2月16日現在、当初目標とした症例数300例、対照数600例、合計900例が調査完了となった。症例はインドネシア大学中央病院腫瘍外科にて新たに診断され、組織学的に確診された女性乳がん例(年齢25ー69歳)であり、対照者は、性(女性)・年齢・入院時期・人種(Nativeか否か)をマッチさせた同一病院の入院あるいは外来通院中の悪性新生物非罹患患者である。インドネシア側と日本側の疫学担当研究者が共同して上記900例について予備的分析を行なった。その結果、乳がんの有意な発生リスク上昇要因は、田舎在住者・胸部外傷経験あり・肥痩者・閉経者(人工および自然)・頻回でない(1ー2回)妊娠・短い授乳期間・乳がん家族歴などである。食品摂取頻度については極めて限られた質問項目数であったが脂肪に富む食品の頻回摂取が有意な発制リスク上昇要因(オッズ比2.65)である。逆に、乳がんの有意な発生リスク低下要因は、離別と死別の婚姻状態・肥満程でない重い体重・月経周期少し不順・間接的エックス線被爆などである。これらの成績は全体をまとめたままの分析成績であり、特に閉経前乳がんと閉経後乳がんと分けて検討されていない成績である。したがっていまだ結論的ではない成績で、資料の詳細な単変量・多変量解析については今後の課題である。しかし、脂肪に富む食品の頻回摂取が発生リスクであるとの成績は、詳細な栄養学的比較研究の将来課題であることを示しており、平成4ー5年度の研究として摂取栄養素量を把握できる栄養士による直接面接調査方法を用いたケ-ス・コントロ-ル研究を申請中である。 3.日本におけるケ-ス・コントロ-ル研究について:平成2年6月以降の1ヵ年間の癌研附属病院乳腺外科受診女性全員(5,095名)から自記式質問票(B5サイズ一枚:調査項目数約20)により疫学情報を収集した。この受診女性全員中の乳がん例を症例(約300例)とし、対照(約600例)は受診女性全員中の非癌者からを無作為に選択・設定(対応変数は年齢と受診月)する方法でケ-ス・コントロ-ル研究を企画中である。平成4年2月末現在までに約4,800例についてのデ-タのコ-ド化と電算機入力が完了している状況である。
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