研究課題/領域番号 |
01042009
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | がん調査 |
研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
渡辺 昌 (1990) 国立がんセンター研究所, 疫学部, 部長 (60051637)
渡邊 昌 国立がんセンター
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研究分担者 |
SOUZA Jose M サンパウロ大学公衆衛生学部, 疫学教室, 教授
GOTLIEB Sabi サンパウロ大学公衆衛生学部, 疫学教室, 教授
LAURENTI Ruy サンパウロ大学, 副学長
高島 豊 北里大学医学部, 公衆衛生学教室, 講師 (20163199)
南里 清一郎 慶応大学医学部, 保健管理センター, 講師
兜 真徳 国立公害研究所, 環境保健部, 室長 (00113481)
津金 昌一郎 国立がんセンター研究所, 疫学部, 室長 (40179982)
TSUGANE Shoichiro National Cancer Center Research Institute
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
8,800千円 (直接経費: 8,800千円)
1990年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
1989年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
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キーワード | 日系移民 / がん罹患 / サンパウロ / ライフスタイル / 横断疫学調査 / 生体指標 / 血液 / 尿 |
研究概要 |
1.がん発生の実態 1969年から78年10年間に、サンパウロがん登録において把握された2,179例の一世の症例(男性:1,288、女性:891)について、部位別がん罹患率の算出を行い、日本やハワイ在住日系人のそれとの比較を行った。世界人口訂正罹患率は、メラノ-マ以外の皮膚がんを除いた場合、男性195.2、女性147.3であり、日本やハワイ日系人よりは低い傾向であった。部位別にみると、日本との比較で明かな増加傾向を示すのは前立腺がんで、サンパウロ市の高いレベルに近づいている。乳房に関しても増加していた。胃がんについては、男性で約85%、女性で約80%への減少を認めるものの日本の国内地域較差での変動の範囲内でおさまる程度であった。米国移民で顕著である、大腸がんの増加は全く認められず、直腸がんでは有意な減少も見られた。 2.発がん要因調査 a)無作為抽出標本調査 サンパウロ在住の日系人のライフスタイルに関する横断的情報を収集する疫学調査を1989年に実施した。調査対象者は、無作為に抽出したサンパウロ市の国勢調査地区に居住する40〜69歳(1989年6月30日現在)の日系一世及び二世全員(411名)とし、ライフスタイルに関する面接質問調査と血液・尿などの生体試料の採取を含む健康調査を実施した。本調査のプロトコ-ルは我々が現在日本の数地域で行っている横断疫学調査(文部省がん特別研究による)との比較が可能になるようにほぼ同一のものを用い、質問調査票については、日本で用いているものに若干の改訂(移住歴とブラジル特有の食品・嗜好品の追加)を加えてポルトガル語に訳して使用した。 調査への参加者は合計251名(61%)、男性119(58%)、女性132名(64%)、一世90名(61%)、二世161名(61%)であった。一般生化学検査では、サンパウロ在住者は日本在住者に比して、総コレステロ-ルで10〜20mg/dl.中性脂肪で40〜90mg/dl、そして尿酸で0.5〜0.9mg/dl程度の高値を示し、脂肪摂取量の多さを裏付ける結果であった。また、脂肪の主要供給源と考えられる牛肉について、その摂取頻度に大きな差異が見られた。但し、味噌汁、漬物、日本茶などの日本的食生活が、二世においても根強く残っているのが観察された。 b)出身母県別調査 移住によるライフスタイルの変容について、出身母県による差異を見いだすために、1990年度には、前記内容の調査を移住者の出身母県別に実施した。対象者は、岩手・秋田・長崎・沖縄の4県のサンパウロ県人会の会員である、40〜59歳の一世男性とした。岩手:19、秋田:15、長崎:25、沖縄:54の合計113名が調査に協力してくれ、そのうち33名に対しては、24時間尿の採取を行った。 結果は、未だ解析途中であるが、沖縄県出身者とその他の県出身間において、ライフスタイルの差異を見いだす事ができた。 3.今後の展開 サンパウロ在住日系人のがんとライフスタイルについて各々示したが、その両者を結びつけるには未だデ-タが不充分と言わざる得ない。現在、1990年前後の死亡デ-タの収集を行うと共に、ライフスタイル質問票の解析やビタミン・微量元素・ホルモンなどに関する生体指標の分析を行い、より広く深い情報を得るべく研究を継続している。
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