研究分担者 |
SAMGHAAS Die ブレーメン大学, 政治学部, 教授
徐 葵 中国社会科学院, ソ連東欧研究所, 所長
HASLOM Jonat ケンブリッチ大学, 歴史学部, 講師
AMBARTSUMOV ロシア社会主義世界体制研究所, 部長
DAVIES Rober バーミング大学, 歴史学部, 教授
COLTON Timot ハーバード大学, 政治学部, 教授
佐藤 経明 日本大学, 経済学部, 教授 (50045928)
下斗米 伸夫 法政大学, 法学部, 教授 (80112986)
河 龍 出 ソウル大学, 政治外交学部, 助教授
田中 明彦 東京大学, 東洋文化研究所, 助教授 (30163497)
和田 春樹 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (30013006)
長谷川 毅 カリフォルニア大学, 歴史学部, 教授 (50164819)
木村 汎 国際日本文化研究センター, 教授 (80001767)
田畑 伸一郎 北海道大学, スラブ研究センター, 助教授 (10183071)
家田 修 北海道大学, スラブ研究センター, 助教授 (20184369)
望月 哲男 北海道大学, スラブ研究センター, 助教授 (90166330)
皆川 修吾 北海道大学, スラブ研究センター, 教授 (60121472)
望月 喜市 北海道大学, スラブ研究センター, 教授 (80002989)
原 暉之 (原 〓之) 北海道大学, スラブ研究センター, 教授 (90086231)
HA Yong-chool Department of Politics and Foreign Policy, Seoul National University
XU Qui Institute of Soviet and East European Studies, Chinese Academy of Social Science
SAMGHANS Die ブレーメン大学, 政治学部, 教授
HASLAM Jonat ケンブリッチ大学, 歴史学部, 講師
AMBARTSUMOR ロシア社会主義世界体制研究所, 部長
河 龍出 ソウル大学, 政治外交学部, 助教授
河 竜出 ソウル大学, 政治学部, 教授
COLTOR Timot ハーバード大学, 教授
DLIETER Seng ブレーメン大学, 教授
徐 〓 中国社会科学院, ソ連東欧研究所, 所長
AMBORLSUMOW ソ連科学アカデミー, 経済研究所, 副所長
DLAVIES R.W. バーミンガム大学, 教授
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研究概要 |
本研究の課題はソ連東欧諸国における改革の実態を把握すること、それが世界システムに及ぼす衝撃を分析することであった。しかし現実の事態は当初の課題設定をはるかに越えて進展し、より突っ込んだ課題に対応することを求めた。 第一に、ソ連東欧課国の改革は改革(システム内での手直し)にとどまることなく革命(システム変動)へと進展し、ソ連の場合にはさらに国家解体(システム崩壊)へと進んだ。この過程は,ソ連については主として原暉之、皆川修吾、望月喜市、望月哲男、田畑伸一郎、下斗米伸夫、R.デ-ヴィス、E.アンバルツ-モフなどによって、また東欧諸国については伊東孝之、佐藤経明、家田修などによって、現地調査を含めて詳細に追跡された。 第二に、世界システムは単に外側から衝撃を受けたばかりではない。それ自身の基本的な構成要素の変容あるいは消滅によって、自ら変容あるいは消滅を迫られることになった.それはヤルタ体制と呼ばれる第二次大戦後の二極的な世界体制の崩壊である。この過程は、その理論的な意味合いも含めて,田中明彦、伊東孝之、D.ゼングハ-ス、および研究協力者の山本武彦などによって分析された。 第三に、最近の事態は国際的相互作用における学習効果の重要性を明らかにした。国際政治のアクタ-は環境から学び、適応することができる。欧州においてはCSCEプロセスが重要な役割を果たし、旧ソ連東欧諸国の国際システムへの再統合に大きな役割を果たしている.しかし、ユ-ゴスラビア、コ-カサス・中央アジアの例は学習効果が万能ではないこと示しており、極東においてはそもそも学習のメカニズムが存在しない。この問題は伊東孝之、D.ゼングハ-ス、研究協力者の吉川元,G.ジュ-クスなどによって検討された。 本研究から得られた知見としては、次の三つを挙げることができよう。まず、世界システムの論の問題としては、ソ連東欧諸国の変動は単極的覇権、勢力均衡、相互依存という三つの可能性を開いた。当面、いずれの可能性も他の可能性を圧倒することなく、地域的濃淡を伴いながら併存している。湾岸戦争後,米国の単極的覇権体制が確立するかに見えたが、世界システムとはなり得ないでいる。欧州ではEC統合が一段と進み、相互依存の世界が出現つつあるがはたして欧州地域を越えるものとなるかは不確かである。世界システム論の問題については、田中明彦、D.ゼングハ-スなどの貢献が大きい。 つぎに、旧ソ連東欧地域には強力な遠心力が働いており,地域独自の国際システムが復活することはないだろう。東欧地域では南北の分化が進んでいる。ポ-ランド,チェコスロバキア,ハンガリ-の中東欧三国は独自のシステムを築こうとしているように見えるがそれ自身EC待合い室的な意味しかもたない。バルカンでは分解傾向が続いている。旧ソ連諸国にはドイツ、トルコ、イランの三つの引力が働いており、ロシア自身も分解傾向を見せている。独立国家共同体は東のEC、NATOを目指したが、その意図は果たされないだろう。旧ソ連東欧諸国の国際関係の問題については、伊東孝之T.コ-ルトン、研究協力者の秋野豊などが貢献が大きい。 さいごに,極東地域は異質な国際システムの接点となっている。ここでは旧ソ連東欧圏のロシア、モンゴ-ル、米国と同盟関係にある日本、韓国、台湾、独自の安全保障政策を追求する中国の三者が相互作用をもつ。従来、相互作用の程度は高くなかったが、ソ連の崩壊によって飛躍的に高まる可能性が出てきた。それはなお北朝鮮情勢、北方領土問題、ロシアの政治経済改革にかかっているが、もし欧州諸国並の相互作用が達成されれば独自の国際システムが生まれよう.極東地域の国際関係の問題については木村汎、長谷川毅、和田春樹、徐葵、河龍出、J.ハズラム、および研究協力者のG.ジュ-クスなどが貢献した。
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