研究課題/領域番号 |
01044008
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
川崎 昌博 北海道大学, 応用電気研究所, 教授 (70110723)
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研究分担者 |
DAS Puspendu インド科学院, 講師
橋本 訓 北海道大学, 応用電気研究所, 助手 (60164787)
KIM Hong Lae ブルックヘブン国立研究所, 研究員
岡部 秀夫 ハワード大学, 化学科, 教授
BERSON Richa コロンビア大学, 化学科, 教授
松見 豊 北海道大学, 応用電気研究所, 助教授 (30209605)
SATYAPAL Sunita Dept. of Chemistry, Columbia University
TOYOSHIMA Isamu Research Center for Catalysis, Hokkaido University
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1990年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1989年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 光解離ダイナミックス / 光分解 / 真空紫外レ-ザ- / ハロメタン / 多光子イオン化法 / 表面光分解 / トリメチルガリウム / トリメチルインジウム |
研究概要 |
光解離ダイナミックスとは、分子を光励起した際1兆分の1秒以下の極短時間に、その分子が解離してゆく様子を研究するもので、この現象はレ-ザ-を用いることにより研究可能となってきた。そこで本研究計画では米国の最も進んだ真空紫外レ-ザ-技術を有している研究室と、表面状態解析装置を有している我々とが共同して、光解離ダイナミックス、特に素材表面上での光解離ダイナミックスを研究したものである。 分子を光励起すると、解離レベル以上に励起されたときは光分解する。しかしながら、表面上にある分子の場合には表面と分子の相互作用がたいへん強く、緩和現象が起こる。この緩和現象は光励起される分子の表面上での配向と、分子と表面との相互作用の強さ、励起分子の電子状態に大きく依存する。また生成物である解離原子、ラジカルは表面上で再結合、また表面原子との反応を起こす。これらの現象を研究する方法を国際協力により開発し実際に試みた。 米国側コロンビア大学バ-ソ-ン教授の研究室では高分解能波長可変真空紫外レ-ザ-が開発され、これを利用した分子の光解離の研究を北大から米国へ行って実施した。その結果、121.6nm光で水素原子を検出しXe,Kr励起状態と水素分子(HD)との反応におけるHD分子の解離ダイナミックスを調べ、結果、この反応には大きな同位体効果があることが直接的に示された。 水素原子、酸素原子、塩素原子は真空紫外光領域に光吸収があって分子の光解離して生成するこれら原子の検出を日本側で試みた。来日したダス博士、サチアパル博士、キム博士が気相において塩化水素、酸素、ハロメタンの真空光分解で生成するH,O,Cl原子を多光子イオン化法で検出し、ドップラ-分光法により光解離する分子の電子状態の対称性、生成する原子の並進エネルギ-分布を求めた。さらにこれらの分子を石英基板上に吸着させて真空紫外レ-ザ-照射によって生成する原子、ラジカル並進エネルギ-分布を調べ、気相中との比較をした。その結果、 A)基板にエネルギ-密度の高いレ-ザ-光を照射すると光剥離が起こり、原子は熱的過程により表面から飛び出してくる。 B)多層膜を形成して基板上に吸着した分子の光解離では、第一層の分子は気相の光分解と同じく電子励起状態からの直接解離が見られ、飛び出す解離生成物の並進エネルギ-は大きい。 C)基板表面に吸着した単分子層分子の光解離で生成し、基板から飛び出す解離生成物の並進エネルギ-は基板による緩和のために小さくなる。 D)基板と光解離生成物との反応で生成する分子が直接観測される。光励起により、これはC)と同じく小さい並進エネルギ-を持って基板から飛び出す。 さらに、表面光分解を行なう分子としてトリメチルガリウム、トリメチルインジウムを選び、表面基板としてシリコン、金、アルミ面を選んで紫外レ-ザ-光による基板上の光分解を試み、吸着している原子分子の状態をXPS法により研究した。その結果、光分解と熱分解とは異なった初期過程を示すことを見出した。つまり、 A)シリコンおよび金の表面では400℃以上で有機金属化合物は分解する。 B)アルミ表面では-170℃の低温でも有機金属化合物は分解する。 C)光照射によりメチル基が基板表面にトラップされる。 以上の結果は、アメリカ物理学会誌、イギリス応用有機金属化学誌に投稿し、受理された。
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