研究課題/領域番号 |
01044017
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大島 康克 東北大学, 農学部, 助教授 (60111267)
大島 泰克 東北大, 農, 助教授
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研究分担者 |
GUSTAAF Hall CSIRO海洋研究所, 主任研究員
HALLEGRAEFF Gustaaf Principal Research Scientist, CSIRO Marine Laboratories
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1989年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 麻痺性貝毒 / 渦鞭毛藻 / saxitoxin / Gymnodinium catenatum / Alexandrium minutum / Alexandrium tamarense |
研究概要 |
麻痺性貝中毒は渦鞭毛藻の毒を蓄積した二枚貝の摂食によって起き死亡率の高い食中毒である。近年、古くから知られているAlexandrium属に加えてGymnodinium catenatumによる被害が世界各地で発生し、食品衛生および産業上大きな問題となっている。本研究は毒化海域に位置し、最適の研究環境にあるオ-ストラリア、タスマニア島においてこの鞭毛藻の生活史および毒生産能を調査するとともに、本種の生産する特異な麻痺性貝毒群の構造と毒性を解明して対策立案のための基礎資料を得ることを目的として実施した。 以下に研究結果を要約する。 (1)渦鞭毛藻の生活史 G.catenatumの生態研究では有性生殖によるcyst形成を含む生活史を完全に明らかにした。 (2)G.catenatumの生産する麻痺性貝毒 同種の生産する毒をHPLCで分析した結果、C1ーC4等Nーsulfocarbamoyl毒群を主成分とし、渦鞭毛藻では珍しいdecarbamoyltoxin群を含む特異な麻痺性貝毒組成を有していた。また、新規の麻痺性貝毒を生産することを発見し、同成分を毒化二枚貝から単離して構造解析を行った結果、13ーdeoxydecarbamoylsaxitoxinであることを明らかにした。 (3)G.catenatumの麻痺性貝毒生産能 異なる温度、塩濃度、栄養塩濃度で培養したG.catenatumの毒を分析した結果、毒含量に変動はみられるものの各成分の相対比に変化はみられないことから、毒組成は安定した生化学的特性であり、同種系群判別の指標となりうることが明らかになった。 (4)主要毒の毒性及び安定性 C3、C4の比毒性を初めて測定し、18,57MU/umoleと低いことを示した。Nーsulfocarbamoyl基を有するC1ーC4は酸性溶液中で加熱すると硫酸基が脱離して強毒のcarbamate毒群に変換することは知られていたが、今回、中性付近で加熱するとエステル結合が加水分解を受け、decarbamoyl毒群が生成する新しい反応を発見した。このことはNーsulfocarbamoyl毒群を多量に含むG.catenatum毒化二枚貝のような場合は調理によって毒性が上昇する可能性があり、食品衛生上問題があることを指摘した。 (5)オ-ストラリア産Alexandrium属の毒組成 アデレ-ドで出現したA.minutumの麻痺性貝毒生産を初めて明らかにした。また、ヴィクトリア州で分離したA.tamarenseが北半球の典型的な同種と良く似た組成を示すことを明らかにした。
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