研究課題/領域番号 |
01044021
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
脇 誠治 群馬大学, 医学部, 助教授 (10056286)
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研究分担者 |
陳 林 中国第二軍医大学, 教授
顧 浩明 中国科学院, 上海葯物研究所, 副教授
GU Haoming Shanghhai Institute of Materia Medica, Chinese Academy of Sciences Associate Pro
CHEEN Lin The Second Military Medical College Professor
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
1991年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1990年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1989年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | マラリア / 熱帯熱マラリア原虫 / 薬剤耐性 / DNAハイブリダイゼ-ション / 血清疫学 / 抗体アイソタイプ / 蛍光強度測定法 / DNAプロ-ブ / 感染防御免疫 |
研究概要 |
1.マラリア原虫薬剤耐性試験法の開発 マラリアの流行状況は世界規模での制圧対策の行き詰まりから感染人口2億人年間死亡数百数十万人の状態が続いている。この原因として媒介蚊の殺虫剤抵抗性に加えてマラリア原虫の薬剤耐性獲得とその蔓延が指摘されている。現在使用可能な限られた種類の抗マラリア剤を有効に使うためには流行地にて原虫の薬剤感受性を定期的にモニタ-する体制を作る必要がある。本研究計画は原虫の抗マラリア剤感受性を生体外にて正確かつ簡便に調べる方法を確立することを目的とした。現在世界保健機関の標準法として用いられている方法は患者から採取した原虫を薬剤存在下で一定時間培養した後顕微鏡観察用の塗抹標本を作成し、原虫の形態観察から薬剤の原虫発育阻止濃度を調べる。この方法では判定に検査者の主観が入ることや熟練した検査技師が必要であることなどの欠点が指摘されてきた。本研究初年度はこの欠点を補うために蛍光強度測定法を薬剤耐性試験法に応用した。原理は原虫のDNAにエチジウムブロマイドを結合させると蛍光波長のシフトと蛍光強度の増強が起り、この蛍光強度が核酸量に比例することであり、培養による原虫の増殖が定量的に調べることが可能となった。この新しい方法を中国海南島のマラリア流行地にて試行し標準法と一致する結果を得た。しかし蛍光強度測定法による核酸量の定量には分光蛍光光度計や遠心機などの機器が必要なため、検査材料の採取と耐性試験のための培養までを現地で行い測定は上海の研究室にて行った。平成2年度はすべての操作を現場にて行いその場で結果が得られる方法の開発を目指して、耐性試験法にDNAハイブリダイゼ-ション法の導入を試みた。熱帯熱マラリア原虫は種特異的な21個の塩基配列の繰り返しを持ち、これが全遺伝子の1%を占めるため原虫検出のプロ-ブとして用いられている。培養後の原虫をタンパク分解酵素で処理してから核酸をナイロン膜に固定し、アルカリホスファタ-ゼ標識DNAプロ-ブを用いて発色させた。発色は核酸量に依存するため抗マラリア剤による原虫増殖の抑制が肉眼で識別できた。中国海南島にて実施した結果より、試験法をキット化することによって特別な設備がなくても一般病院検査室等で実施可能であることが明らかになった。平成3年度はこのDNAハイブリダイゼ-ション法の改良を進めるとともに、流行地に導入するための具体的な方法の検討を海南省熱帯病防治研究所とともに討議し、(1)キット化すること(2)技師への技術講習を行うこと(3)マラリア対策計画へ耐性試験をどの様に組込でいくかの検討等を今後進めていくことにした。 2.マラリア疫学への免疫学的技法導入の検討 研究代表者はマウスを用いたマラリアの免疫学的実験研究を行ってきた。これから得られた知見を基礎に本研究計画において海南島で採取したマラリア原虫、患者リンパ球、血清を用いて免疫学的研究を平行して行った。臨床的に免疫状態にあると考えられる成人のリンパ球は抗原刺激して培養するとガンマインタ-フェロンを産生した。また血清中の原虫特異的抗体のアイソタイプはIgG3が他のIgGサブクラスに較べて有意に高かった。一方マラリア発症中の、すなわちまだ十分な免疫を獲得していない子供ではガンマインタ-フェロンの産生が低く、特異抗体のIgGサブクラス間に差が認められなかった。マウスモデルの実験結果からは防御免疫とガンマインタ-フェロンおよびIgG2が相関する結果を得ていることから集団の免疫状態を評価する方法としての確立を現在検討している。 本研究は上海のマラリア研究グル-プとの共同研究で行ってきたが平成3年度より海南島にてマラリア対策を行政レベルで進めている海南省熱帯病防治研究所が共同研究に参加した。今後新たな研究計画にて研究成果をマラリア対策の現場に応用していく予定で共同研究の同意書を交わした。
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