研究課題/領域番号 |
01044025
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
坂井 進一郎 千葉大学, 薬学部, 教授 (20009161)
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研究分担者 |
PONGLUX D. チュラロンコーン大学, 薬学部, 教授
ZENK M.H. ミュンヘン大学, 生物薬学科, 教授
STOCKIGT J. マインツ大学, 薬学部, 教授
高山 廣光 千葉大学, 薬学部, 助手 (90171561)
相見 則郎 千葉大学, 薬学部, 助教授 (30009170)
STOECKIGT Joachim Institute of Pharmacy, Mainz University
ZENK Meinhart H. Institute of Pharmaceutical Biology, Muenchen University
PONGLUX Dhavadee Faculty of Pharmaceutical Sciences, Chulalongkorn University
ZENK M.K. ミュンヘン大学, 生物薬学科, 教授
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
11,400千円 (直接経費: 11,400千円)
1991年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1990年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1989年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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キーワード | 植物組織培養 / インド-ルアルカロイド / 構造決定 / Rauwolfia serpentina / 生物変換 / Raumaclines / Aspidosperma quebracho blanco / Aspidochibine / Raumacline / 化学変換 / アジマリン / Aspidasperma queblacho blanco / Aspidosperma gmbir |
研究概要 |
3年間にわたる本国際学術研究の間に、延べ7人の派遣と5人の招へいによる交流を行い、日本・ドイツ・タイ国間での共同研究が機能的かつ効率的に進行し、成果を得た。 医薬品資源として重要な植物、特にインド-ルアルカロイド含有植物の組織培養技術を用いた新規化合物の発見、生産を目的として、今回、三種の薬用資源植物培養体を研究材料として選び、以下の結果を得た。 1.インド蛇木として知られるRauwolfia serpentinaはAjmalineやReserpine等の供給源として重要な薬用資源植物である。この一培養株においてAjmalineはモノテルペノイドインド-ルアルカロイドの生合成最終代謝産物として考えられていたが、Ajmalineを投与し培養を続けること、これが更に生物(酵素的)変換を受け、新規代謝産物が生産されることを見いだした。これまでにRaumacline類と総称する四種の新化合物を単離し、構造決定に成功した。これらアルカロイドは全て、AjmalineのN1ーC2が酸化されることによりC7ーC17結合が切断されてC17アルデヒド体となり、これと、C21が還元されて生成した一級水酸基との間で分子内ヘミアセタ-ル環を形成し、更に代謝が進行し生合成されたものと推定できる。これら新規骨格を持つアルカロイド、Raumacline,N_bーMethylraumacline,6αーHydroxyraumacline,19(S)ーHydroxyーN_bーmethylraumaclineはそれぞれ、スペクトル解析により構造を推定し、更にAjmalineを出発原料とした生合成類似の化学変換反応により部分合成して、構造決定と共に大量供給への道を開拓した。これら新型化合物群の生物活性に興味が持たれる。 2.南アメリカ地方に分布するAspidosperma quebracho blancoは気管支喘息や呼吸困難の治療薬に用いられている。南米産薬用植物の代表として重要な本植物の組織培養の確立に今回初めて成功し、この懸濁培養体より三種の新塩基を微量成分として単離した。これらの新化合物,Aspidochibine,3ーOxoー14,15ーdehydrorhazinilam,11ーHydroxytubotaiwineは主に、最新の二次元NMR測定法を駆使することにより構造を明かにした。特にAspidochibineと命名した化合物は10員環ラクトンを含む4環構造のこれまで全く知られていなかった新しい骨格のインド-ルアルカロイドである。Aspidochibineはquebrachamine型など原植物含有の30種以上にのぼるアルカロイド類のどれよりも生合成段階が進行した生成物と見なしうる。現段階ではこれら新規物質の生産量は極めて低いが、原植物には全く含有されていないものであり、これらが特異的に生成することは脱分化植物細胞と原植物の代謝機能の差異からも興味深い。 3.熱帯東南アジア地域でガンビアタンニンの原植物として知られるUncaria gambirの組織培養体についてインド-ルアルカロイド系物質の検索を行ったが、検出には成功しなかった。 今後更に、新しい系での投与、インド-ル系化合物含有の薬用資源植物や細胞融合などにより得られた培養体を用いた実験を継続する予定である。
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