研究課題/領域番号 |
01044035
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飯島 健 東京大学, 理学部, 助教授 (70011624)
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研究分担者 |
藤井 良一 国立極地研究所, 研究系, 助手 (00132712)
小川 利絋 東京大学, 理学部, 教授 (70011616)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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キーワード | Region1沿磁力線電流系 / Region2沿磁力線電流系 / NBZ沿磁力線電流系 / 磁気圏 / セントラルプラズマシ-ト / イオンアルヴェン層 / サブスト-ム / ダイポ-ラリゼイション |
研究概要 |
米国の人工衛星で計測された物理デ-タ(磁場・電場・プラズマ粒子)を解析して、太陽から地球磁気圏・電離圏・大気圏にかけてエネルギ-輸送と変換の過程および媒質の力学に関する重要問題の解明に取り組んだ。 1.太陽・地球系巨観的エネルギ-輸送について:地球磁気圏・電離圏には、大規模巨大沿磁力線電流系(Region1、Region2、NBZ沿磁力線電流)が存在することは人工衛星による磁場観測を基に確認されている。沿磁力線電流系はそれぞれ固有の磁気圏電場と電磁場エネルギ-束を電離圏まで輸送し、電離圏に固有の電流系を、熱圏に固有の中性風系を形成する。Region1とNBZ沿磁力線電流系は、それぞれ、太陽風が磁気圏に直接与える反太陽向きおよび太陽向きのプラズマストレスによって生起されるのに対し、Region2沿磁力線電流系は磁気圏内部で発生するプラズマストレス(磁気圏尾部から押し寄せるプラズマ流の進路を地球近傍でそらせる)によって生起されると考えられている。DEー2衛星により同時に測定された電磁場とプラズマデ-タを用いて、Region2沿磁力線電流系は10ー20KeVのエネルギ-を持った降下イオン領域と一致することを発見し、従来の理論的仮説にあるイオン・アルヴェン層形成理論の有意を確認すると共に、プラズマストレスに伴って内部磁気圏に流れる放射状電流の存在の重要性をも示唆した。 2.地球磁気圏におけるエネルギ-変換・帰還について:太陽風から輸送された電磁場エネルギ-および物質流運動エネルギ-は地球磁気圏で発生する新たな変換過程(サブスト-ム現象)を経て、一部は内部磁気圏に蓄積され、一部は電離圏で消費され、隣接する大気圏にも力学的相互作用をおよぼし、組成をも変化させていく。CCE衛星により測定された磁場デ-タを用いて、赤道域夜間磁気圏(地球中心からの距離範囲〜3.9-9.4Re、磁気的地方時範囲〜18-05時)で発生するサブスト-ム磁場変化の本質は、磁場形状の双極子型からの相対的変化と沿磁力線電流系の発達とから成ること、磁場形状は最初双極子型から離反し、その後急速に双極子型に接近すること(ダイポ-ラリゼイション)、沿磁力線電流系は磁場形状の双極子型化開始に約20ー30分先行して発生し、その強度は多くの場合、双極子型開始時に最大に達することを発見した。新たに確認されたこれらの事実の解釈には、従来の仮説では極めて不十分であることを指摘し、新たに発生機構のモデルを提唱した。
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