研究分担者 |
NICOL A.C. ストラスクライド大学, 生体工学研究施設, 上級講師
BARBENEL J.C ストラスクライド大学, 生体工学研究施設, 教授
PAUL J.P. ストラスクライド大学, 生体工学研究施設, 教授
高橋 真 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助手 (10154858)
宮崎 信次 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助手 (10014284)
石田 明允 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 教授 (60016540)
PAUL John Bioengineering Unit, University of Strathclyde
NICOL Alexander Bioengineering Unit, University of Strathclyde
BARBENEL Joseph Bioengineering Unit, University of Strathclyde
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研究概要 |
1.三次元空間内の位置と姿勢(6自由度)を検出する磁気センサシステム市販されている.ソ-スコイルが誘起する10kHzの時分割3軸直交磁界を、センサコイルが検出して電流に変え,その大きさから方程式を解くことにより,ソ-スコイルに対するセンサコイルの相対空間座標と回転角度が計測される.複数のセンサコイルを体肢に装着し,それらから得られる相対空間座標と回転角度をパ-ソナルコンピュ-タで処理し,関節の回転角及び変化を求めて表示するシステムを開発した. 2.関節に関係する筋の筋力を求めるには,力を発生している筋を筋電図によって調べ,繰り返し計算を行ってエネルギ-あるいは合成力を最小にする筋力配分を推定する方法が,現在のところ最も有効であろうという結論を得た. 3.肩複合体の関節運動を調べるために,磁気センサによる三次元位置計測装置と筋電図計測装置とをパ-ソナルコンピュ-タにより結合して,同時に位置と筋電図を計測する装置を開発した.この装置により,次のことが明らかになった.前方挙上及び外転運動において,上肢の挙上角度が増すにつれ,三角筋前方・中部・後方線維の筋活動電位は漸増する.僧帽筋上部線維の活動も増加するが,被験者により増加のパタ-ンが異なった.水平屈曲・水平伸展運動では,最大屈曲位から伸展した場合,三角筋中部・後方線維,上腕二頭筋及び棘上筋の筋活動が伸展とともに増加し,棘下筋のそれは減少した.三角筋前方繊維に関しては増加する場合と減少する場合とがあった.投球動作時の測定も行い,熟練者と非熟練者とでは回旋量に差が生じることを見いだした. 4.三次元回転運動を記述する方法として,ジャイロスコピック・オイラ-系が一般に用いられている.関節運動の回旋角を記述するために,オイラ-角の一つを用いることが従来提唱されていたが,この方法では,コッドマンのパラドックスに代表されるような矛盾が生ずる.そこで回旋角の定義をΔ_o=〓Ω_xdt,Ω_x=-φ^^,sinθ+ψ^^, (Δ_oは回旋角,φ,θ,ψはオイラ-角)で与え,この定義が矛盾を生ぜず,また,直感的な回旋角を良く表現できることを示した.さらに,上肢のような多関節系の回旋を記述するために,相対回旋角の定義も与えた. 5.瞬間中心計測の誤差解析を行って次の結論を得た.計測精度を向上させるためには,(1)位置検出用の標点群の重心と瞬間中心とをなるべく一致させる,(2)標点群の回転半径をなるべく大きくする,(3)標点の数をなるべく多くする,(4)サンプリング間隔をなるべく大きくする.これらの条件は実施にあたって困難なものがあるので,トレ-ドオフを考慮しつつ実現可能な実験条件を設定した.測定誤差の要因は,(1)光半導体型位置計測装置の誤差(カメラのレンズ歪及び半導体受光面の不均一性による系統的誤差と雑音による不規則誤差),(2)矢状面とカメラの光軸とが直交しないことによる誤差,(3)測定対象の瞬間中心に無関係な動きである.実験装置を改良し系統的誤差の補正を加え,平滑化しつつ微分演算を行う新しい瞬間中心算出式を用いて誤差の軽減を図り,瞬間中心を理論的に求められる4節リンクモデルによって誤差を実測したところ,±3mm程度となった.顎関節の開閉運動時の瞬間中心を計測し,開口時と閉口時の瞬間中心の軌跡のパタ-ンが相当に異なること,また同一条件下でも軌跡が運動毎に変化することを明らかにした.
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