研究分担者 |
王 黎曼 天津中西医結合皮膚病研究所, 皮膚科, 助手
馮 高章 哈爾浜医科大学, 第2医院・皮膚科, 付教授
辺 天羽 天津市長征医学院, 院長
王 珮 北京医科大学, 人民医院・薬理学, 付教授
姜 学又 北京医科大学, 第3病院・皮膚科, 教授
田 丁 北京医科大学, 人民医院・内科, 付教授
山本 卓 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (00220476)
中山 健夫 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (70217933)
土田 満 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (00163824)
山口 百子 国立健康栄養研究所, 成人健康栄養部, 部長 (00118655)
峰下 哲 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (00014358)
田中 平三 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (70047215)
BIAN Tian Yu Professor, Dept. of DermatiologyChang Zheng Hospital, Tianjin
LI Shi Yin Professor, Dept. of dermatology, 3RD Hospital, Beijin Medical Univ.
PEI Wang Associate Professor, Dept. of Pharmacy, Beijin Medical University
DING Tian Professor, Dept. of Hematology, Xuanmu Hospital, Beijing
FENG Gao Zhang Associate Professor Dept. of Dermatiology2ND Hospital, Harbin Univ.
LIAO Hai Sun Lecturer, Dept. of Hematology, Xuanwu Hospital, Beijin
JIANG Xue Yi Professor, Dept. of Dermatology, 3RD Hospital, Beijin Medical Univ.
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配分額 *注記 |
13,000千円 (直接経費: 13,000千円)
1991年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
1990年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1989年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
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研究概要 |
ベ-チエット病(ベ病)は周知のごとく,全身的に広範かつ多彩な病変を反復再燃しつつ慢性に経過し,医療的にも各種の治療手段に抵抗する典型的な難病であり,昭和47年度に厚生省特定疾患に指定されて以来その成因,治療及び予防に関する研究がすすめられているがいまだに不明な点が多い。今回北京医科大学を中心とする中国との3年間の共同研究を行う機会を与えられた。この間の研究のあらましは次の通りである。 1.中国におけるベ病患者の臨床的検討 天津における症例の検討:当初の共同研究の計画であった北京医科大学での調査が,あいにく天安門事件に伴う北京滯在の困難な状態の発生により,不可能となり,まず天津医科大学及び天津市長征病院との共同研究から始めることとなった。 1974年から1988年までに天津医科大学及び天津市長征医院に通院・入院したヘ病患者について検討した。症例数は全部で158例であった。年齢は15歳から77歳までと広範囲にわたっているが15歳から49歳までが122例と約70%をしめていた。男女比は1:3.1と女性が極めて多かった。罹病歴としては約90%が10年以内と比較的短いが、30年もの長期罹患者もみられた。病型については完全型が男性では12/39(30.6%),女性では34/19(28.6%)であった。不完全型の多くは眼症状を欠いていた。診断は1987年に一部改訂された診断基準にもとずいて行われたが、「疑いのある型」や「可能性のある型」については今回はとりあげなかった。 哈爾浜における症例:天津からさらに北方の哈爾浜における症例について調査した。哈爾浜医科大学に1988年から1989年までに外来通院中及び入院中の患者について検討した。患者は41名でうち男性14名,女性は27名で、男女比は1:1.9とここでも女性が多かった。年齢は17歳から54歳までで比較的若かった。病型については男性患者14名中8名が完全型(57%)で、女性患者は27例中完全型10例(37%)であった。不完全型に関しては男女とも全例において眼症状が認められなかった。 2.ベ病とヒト白血球抗体(HLA)の関連性について a).HLAーI,II型の分布:ベ病と遺伝との関係が1973年代からいろんな国で関心を持たれ研究されてきた。大野らは日本のベ病患者がHLAーB5と強い相関を示すことを報告した。今回は中国人のうち黄河以北に居住する漢民族のベ病患者120名と対照して100名の健常者についてHLAーA,B,Cのタイピングを行った。患者の内訳は男性39名,女性81名,年令は19歳から63歳で完全型43名不完全型77名であった。対照群は同じ地域に居住する漢民族の男女であった。HLAーA,ーB及びーCのタイピングは標準的なNIHのmicrocytotoxicity assay法によって行った。HLAーDR,ーDQ及びーDPはLymphoーBーKwikで分離したBリンパ球を用いた。HLA抗血清は第11回国際組織適合性ワ-クショップによって提供された。結果は患者では120例中67例(55.83%)にB51が認められた。一方健常者では100例中12名(12%)であった。これは諸外国における異なる民族におけるデ-タとほぼ一致している。もちろんベ病がすべて内因性因子で説明出来るわけではない。外国に居住する日本人にはベ病患者は今のところ認められていない。これらの事実は内因性要因とともに何らかの外国性因子が関与しているのではないかと思われる。 b).中国人ベ病患者のHLAーIII型の分布 HLAーIII型はC4A,C4B,Bf,C_2の補体成分から成り,HLAーI,IIと同じようにその遺伝子の多型が認められ,さまざまな自己免疫疾患との関係が研究されている。今回は北京医科大学などのベ病患者のうち男性19名,女性62名の計81名の漢民族について検討した。正常人に比べ,C_<4A>Q_0の増加とC4BQ_0の減少が認められた。 c).完全型ベ病患者のHLAーI,II型の分布ーー日本と中国の比較 28名の日本人患者と26名の中国人患者について比較した。A2,A3,Bw51などの出現頻度に関しては双方とも正常人に比べ高かったが両国間では有意差は認められなかった。この点に関しては更に今後多くの症例について検討する必要があると思われる。民族学的にも大変興味ある点であり今後も研究の継続が望まれる。
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