研究課題/領域番号 |
01044056
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
若尾 法昭 横浜国立大学, 工学部, 教授 (10017858)
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研究分担者 |
船造 俊孝 横浜国立大学, 工学部, 助手 (60165454)
谷生 重晴 横浜国立大学, 工学部, 講師 (40018073)
原 孝夫 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (10017999)
影井 清一郎 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (20017966)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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キーワード | Supercritical / Extraction / Medicinal Plants |
研究概要 |
中国産薬草からの有効成分抽出の予備実験として、超臨界炭酸ガスを用いて米糖からの脂質抽出を行なった。まず抽出成分の時間的変化を調べる目的で、抽出物をCO_2ガス消費量ごと、0ー20、20ー50、50ー100、100ー150NLの各フラクションに分けて採取した。この各フラクションをカラムクロマトグラフィ-により、遊離脂肪酸、モノ、ジ、トリグリセリドの4種類の成分に分離した。分離したトリグリセリドについてはGCでその炭素数を調ベ、更に液体クロマトグラフィ-(HPLC)により分収した。この分収フラクションを加水分解後エステル化し、これをGCーMS、HPLCにより9種類の成分にわけて各トリグリセリドの構成脂肪酸を調べた。 抽出油成分 抽出油はその大部分がトリグリセリド(70%以上)、次にジグリセリド(10ー15%)、その他はモノグリセリド及び遊離脂肪酸であった。313K、23MPaの方が30MPaより抽出油量が少ないが、トリ及びジグリセリドの割合が多くなっている。これは23MPaのほうが30MPaよりもトリグリセリドの炭酸ガスに対する溶解度が高いためと考えられる。 エントレ-ナ-の抽出成分に対する影響としてアセトン添加の場合、トリグリセリド以外のものが増加し、とくにジグリセリドが多くなっている。酢酸エチル添加の場合もトリグリセリドが減少しているが、エタノ-ル添加の場合、トリグリセリドが増加しジグリセリド及び遊離脂肪酸成分が減少している。 予備実験の知見として 1)ヘキサンによる溶媒抽出と比べて、エントレ-ナ-を添加しない場合、超臨界抽出(30MPa、313K)では抽出油の収率は低くなるが、トリグリセリドの抽出に関しては選択性が向上することがわかった。ただし、エントレ-ナ-を添加するとトリグリセリド抽出の選択性は悪くなった。 2)抽出圧力を増加させると抽出油の収率は向上するがその成分についての影響は殆ど見られなかった。 3)トリグリセリドについては抽出成分の時間的変化は認められなかった。 4)エントレ-ナ-を添加すると抽出油収率は特にアセトンの場合に著しく向上した。またエントレ-ナ-添加により不飽和結合を多く含むトリグリセリドの割合が増加することがわかった。 以上の知見をもとに中国産薬草からの有効成分の抽出を行なった。抽出成分はジオスゲニン(C_<27>H_<42>O_3)で20ー30MPa、313kで抽出を行なったが、被抽出物の極性が強く、超臨界炭酸ガスへの溶解度がかなり低いため、エントレ-ナ-なしでは殆ど抽出されなかった。しかし、エタノ-ル、ヘキサン、アセトン添加の場合ジオスゲニンが抽出された。比較のためヘキサン、アセトンを抽出溶媒として溶媒抽出を行なうと、ジオスゲニンは抽出されるがその他の分子量の大きい夾雑成分が多く抽出され、これらとジオスゲニンとの分離が困難であった。従って、ジオスゲニンの抽出速度は遅くなるが、分離精製を考えるとヘキサンをエントレ-ナ-として超臨界炭酸ガスで抽出したほうが溶媒抽出より有利と考えられる。
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