研究分担者 |
RUSCH D. Inst. for Netronphys. & Reactor, Kernforsch, 準教授
BLUHM H. Inst. for Netronphys. & Reactor, Kernforsch, 準教授
KAROW H.U. Inst. for Netronphys. & Reactor, Kernforsch, 準教授
KESSLER G. Inst. for Netronphys. & Reactor, Kernforsch, 教授
升方 勝己 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (80157198)
KESSLER Gunther Inst. for Neutronphys. & Reactortech, KfK, Director, Professor
RUSCH Detlev Inst. for Neutronphys. & Reactortech, KfK, Director, Associate Professor
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研究概要 |
カ-ルスル-エ原子核研究所のパルスパワ-発生装置“KALIF"を用いて、昨年度実施して得られた実験成果を基に、今年度はプラズマ・フォ-カス・ダイオ-ド(PFD)の最適動作化を図ると共に、イオン電流やイオンビ-ム・タ-ゲット相互作用に伴うプロトンエネルギ-の計測等を重点的に実施した。 得られた成果をまとめると、以下の様になる。 1.PFDの最適動作化 昨年度の実験から、陽極内径=31mm、陰極外径=23mm、陽極ー陰極ギャップ長さ=4mm、軸方向の長さ=40mm、の寸法のPFDがKALIFに最も良くマッチングすることが判明していたので、この条件の近傍で、軸方向の長さを変えたり、PFD下流でギャップ長が短くなり不安定性が発生するので陰極にテ-パ-をつけて安定化したりなどして、最適化実験を行った。 (1)フラット形状PFDでは、ダイオ-ドのピ-ク電力は〜0.3TW程度である。 (2)軸方向の長さ=60mmにするとピ-ク電力は〜0.5TWに達する。 (3)テ-パ-陰極の場合は、ピ-ク電力発生〜0.5TWに達する。 (4)シャドウボックスを用いたダメ-ジパタ-ン計測から、局所的な発散角(φ)は、方位角方向及び軸方向がそれぞれφ_θ〜1°及びφz〜2°である。 (5)ダメ-ジパタ-ン及びラザフォ-ド散乱ピンホ-ルカメラによる計測から、最小収束半径〜0.2mm、と評価され、全発散角〜 °(=14mrad)と言う極めて良好な収束性能を得た。 2.原子核活生化法によるプロトン数の計測 LiFタ-ゲットを用いた原子核活性化法を用いてプロトン数の計測を行った。即ち、LiFにプロトンビ-ムを照射する場合に発生する^7Li(p,γ)^8Beの核反応による即発γ線を用いて、^<63>Cu(γ,n)^<62>Cu(β^+)^<62>Niの反応によりCuを活性化し、陽電子と電子の消滅γ線を計測して、初期のプロトン数を同定する手法である。タンデム型加速器を用いて、プロトンエネルギ-が1.1〜1.8MeVの範囲内で本測定システムを校正後、KALIFを用いた実機による計測を行い、ショット当たりのプロトン数及びプロトン電流の評価に成功した。 典型的なデ-タを以下に示す。 即ち、ダイオ-ド電圧〜1.6MVの時、ショット当たりのプロトン数〜8×10^<14>ケ/ショット、プロトン電流〜15kA、プロトン電力〜24GW。 更に、ダメ-ジパタ-ン及びラザフォ-ド散乱ピンホ-ルカメラによる計測から、最小収束半径〜0.2mm、収束長〜40mmと判明したので、これより収束断面積〜0.08cm^2を得た。 上記の結果を用いて、プロトン電力密度〜24GW/0.08cm^2〜0.3TW/cm^2と評価された。この値は、1モジュ-ルのイオンビ-ムの収束電力密度としては、世界有数のものである。 3.時間分解エネルギ-計測 1ショットの実験で、タ-ゲットを通過しないビ-ムとタ-ゲットを通過したビ-ムのエネルギ-を同時に計測可能な、時間分解可能型トムソンパラボラエネルギ-分析器を開発し、KALIFを用いて実機による計測に初めて成功した。本分析器では、電界を短パルスで掃引し、中心軸上でタ-ゲットを通過したビ-ムとしないビ-ムの2つの信号を、プラスチックトラック検出器(CRー39)上で同時に検出出来る様に工夫されている。このため、従来はこれらを別々に計測していた実験上の計測効率並びに実験精度を著しく向上することに成功した。
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