研究課題/領域番号 |
01044070
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木村 磐根 京都大学, 工学部, 教授 (00025884)
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研究分担者 |
小嶋 浩嗣 京都大学, 超高層, 助手 (10215254)
大村 善治 京都大学, 超高層, 助教授 (50177002)
松本 紘 京都大学, 超高層, 教授 (00026139)
佐藤 亨 京都大学, 工学部, 講師 (60162450)
岡田 敏美 富山県立大学, 工学部, 助教授 (90008566)
長野 勇 金沢大学, 工学部, 教授 (50019775)
橋本 弘藏 東京電機大学, 工学部, 教授 (80026369)
HELLIWELL R. 米Stanford大学, 教授
WONG A.Y. 米California大学, UCLA, 教授
WONG Alfred Y. Dept. of Physics, University of California, Los Angeles (Professor)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
1990年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1989年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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キーワード | EXOSーD(AKEBONO)衛星 / 電離層プラズマ加熱 / 衛星実験 / アクティブ実験 / VLF電波伝搬 / 磁気圏プラズマ / 波動ー波動相互作用 / 波動ー粒子相互作用 |
研究概要 |
本研究課題は、アラスカ州フェアバンクスにある米国UCLAの電離層加熱実験装置HIPAS(High power active stimulation)を用いたEXOSーD(あけぼの)衛星との協同実験、並びに米国の科学衛星DEー1との協同観測実験を行うことが主目的であった。2年間の成果として、先ず前者のHIPASとの協同実験では、後述のように大きな成果が得られたが、DEー1との協同研究では、相互の衛星の事情もあって、所期の目的は達成されていない。2年目の後半では、HIPAS実験の成功の経験を踏まえ、ノルウエ-国・トロムゼ市にあるHIPASと同種の電離層加熱実験設備(西独マックスプランク研究所所有)とも協同観測を計画し、衛星観測の成功した。 本報告では主にHIPAS実験、およびトロムゼとの協同実験について述べる。HIPASとの協同実験は、2年間に下記の4回の協同観測キャンペ-ンを行った。 第1回:平成元年8月10日から20日(予備実験) 第2回:平成元年11月27日から12月3日(VLF実験) 第3回:平成2年6月18日から27日(VLF実験) 第4回:平成2年11月:HIPAS/ELF実験、トロムゼ/VLF実験 HIPASは短波(HF)帯の大電力電波(縄波数2.85MHz、電力1MW)による電離層加熱設備である。我々はこの設備を使用し、HF帯の電波をVLF周波数で振幅変調することにより、加熱された電離層中に流れる電流を変調し、放射されるVLF電波をあけぼのの衛星と地上で同時に受信する実験を行った。 第1回は予備実験で、HIPAS送信に伴い電離層から放射されるVLF電波を、直交ル-プアンテナを用い、HIPAS設備から約35km離れた地上でも受信することに成功した。一方衛星観測については、HIPAS実験にあるテレメ-タ受信設備を用いた受信を試みたが、設備の性能が十分でなかったため、衛星受信には成功しなかった。 第2回目からは、衛星テレメ-タ受信をカナダのプリンスアルバ-ト衛星追跡局(PA)で行ってもらうこととし、PAに本研究分担者が出張して、リアルタイムに実験結果を確認する方法をとった。この方法により、衛星でのHIPAS変調波のVLF受信に初めて成功した。11月28日には高度2,300kmを飛翔するあけぼの衛星と地上での同時観測に成功し、HIPAS送信機による電離層電流の大きさなどを計算するための貴重なデ-タが得られた。第2回目のキャンペ-ンでは計7回の送信実験を行ったが、結局衛星受信に成功したのは1回だけであった。これは衛星軌道の近地点が300kmと近いため、軌道予測計算に誤差が多いためと考えられる。 第3回目は平成2年6月であったが、冬の間に屋外の設置されたVLF受信機に不具合が生じたため修理を行い、第3回目のキャンペ-ンを行った。この実験では地上VLF観測と同時に、10,000kmの高度を飛翔するあけぼの衛星でHIPAS送信にともなうVLF信号の受信に成功した。この回にも衛星での受信の成功は1パスだけであった。 第4回は平成2年11月、変調周波数をELF帯(81Hz)にして3パスの観測を行ったが、衛星での受信には成功していない。ELFの場合、信号が微弱であり、長時間のコヒ-レント積分を要するが、衛星が早く飛翔するため積分時間が不足するためと考えられた。一方、同月ノルウエ-・トロムゼにある電離層加熱装置による同種の協同実験を企画した。スエ-デンのエスレンジに衛星テレメ-タ受信を依頼し、3回の実験を行ったが、6月18日、衛星高度1,200kmの1パスにおいてVLF信号の受信に成功した。このときには電離層中の電子密度、電場が、EISCAT非干渉散乱レ-ダで観測され、地上観測でもVLF電波が受信された。 以上のように我々の衛星観測では、電離層加熱にともなうVLF電波放射衛星観測に成功し、その電波の伝搬ベクトル方向の測定にも成功した。これにより電離層中に発生した、VLF周波数の電流による電波の放射機構、およびこの電波が衛星、および地上へ伝搬モ-ドなどについて、理論的に明らかにするための貴重な資料が得られた。
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