研究分担者 |
SILVESTON Pe Waterloo大学, 化学工学科, 教授
三浦 孝一 京都大学, 工学部, 助教授 (40111942)
阪田 祐作 岡山大学, 工学部, 助教授 (70032951)
鈴木 俊光 京都大学, 工学部, 助教授 (70026045)
富田 彰 東北大学, 非水溶液化学研究所, 教授 (80006311)
|
研究概要 |
本共同研究は、日本、カナダ両国の研究者と政府、産業界が協力してカナダに大量に産出する未利用の亜瀝青炭、褐炭を石油代替エネルギ-、化成品等へ効率的に変換する新しい高度利用技術を開発することを目的としている。本共同研究は昭和62、63年度の2年間に渡り文部省科学研究費海外学術研究の交付を受け共同研究に取り組んできた。62年度には、我が国から3名が短期、6名が約2.5ケ月に渡ってカナダの大学・研究所に滞在し、主としてカナダ炭の熱分解、ガス化に関する基礎研究に従事した。昭和63年度においては、両国研究者間で緊密な連絡をとりながら共同研究を継続するとともに、11月にはカナダ側の研究者を我が国に招へいし、2年間の研究成果を100頁に及ぶ英文報告書にまとめ、文部省を始め、関係機関に広く配布された。この2年間の海外学術研究によって得られた成果に基づいて、本年度はより具体的な課題に的を絞った形で、研究が実施された。以下にその内容を記す。 まず、日本の6名の若手研究者の受け入れ先をカナダ側代表者のSilveston教授と協議の上、決定された。この結果、本年度から新たにLaval大学のRoy教授をメンバ-に加わることとなった。この決定を受けて、阪田(岡山大),宝田(群馬大),布田(秋田大),辻(北大),前(京大),宍戸(山形大)が7月18日より、62日間カナダの各大学,研究機関に滞在して共同研究を実施した。すなわち、阪田はWaterloo大学でSilvestonと石炭からの分子ふるい炭素の製造,宝田はAlberta Research CouncilにてChambersと安価な触媒原料を用いた石炭の接触ガス化,布田はCANMETにてFurimskyと高温ガスクリ-ンアップ用鉄系脱硫吸収剤のメスバウア-分光法による評価,辻はBritish Columbia大にてWatkinson教授と噴流層による石炭ガス化の数値モデルの開発,前はLaval大学にてRoy教授と石炭の真空熱分解に関する研究、宍戸はAlberta大学Egieborと超臨界流体抽出による石炭からの液状成分の回収に関する研究にそれぞれ従事した。また、カナダ滞在中、6名の研究者はカナダ国内の石炭関連機関を訪問し、石炭のガス化,熱分解等に関する諸問題について意見交換,討議を実施し、本共同研究のタ-ゲットをより明確にした。 次に、代表者である橋本が9月2日〜9月10日の日程で、カナダを訪問し、今年度のカナダでの共同研究の総括及び今後の共同研究の具体的な進め方について、Waterloo大学でカナダ滞在メンバ-及びカナダ側研究者が一同に会して会議を実施した。ここで、各メンバ-のカナダでの研究の中間報告がなされた。その成果をまとめると、阪田は熱濃硫酸処理が炭種に係わらず、分子ふるい分離を可能にすることを、宝田はカナダの低品位炭を利用して安価なKClを高活性なガス化触媒とすることを、布田は鉄系吸収剤を石炭ガス化生成ガスの高温クリ-ンアップに使用する有効性を、辻は日本で独自に開発した石炭噴流層ガス化モデルをカナダの加圧ガス化装置に適用してその有効性を、前は石炭の真空熱分解が石炭の初期分解反応の情報を与える有効な手段であることを、宍戸はカナダ炭に関しても超臨界流体抽出が、液状成分の大量回収とその質の制御に有効であることをそれぞれ明らかにした。また、日本側を代表して橋本が本共同研究の3年間の総括と今後の計画について述べ、意見交換を行った。この結果、共同研究の形は種々検討する必要があるが、石炭の高度利用技術の確立し日本とカナダ間の緊密な協力体制をより一層推進するという基本的考えに両国研究者とも合意した。これらの成果については、74頁の報告書にまとめ、文部省他の関係機関,関連研究者に広く配布した。 さらに、6名のメンバ-は9月9日〜17日まで、アメリカのマイアミで開催されていた米国化学会第198回大会に参加し、石炭の転換技術に関する研究の最近の動向を詳細に調査するとともに、前が石炭の熱分解に関する本共同研究の成果を2件発表した。 以上、海外学術研究も含めて3年間、本共同研究も年々充実し着実に成果を収めている。この3年間の成果を結実させ、新たな発展を期するために、日本ーカナダ両国間でより強固に共同研究を推進していく所存である。 予定である。
|