研究課題/領域番号 |
01044075
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長尾 真 京都大学, 工学部, 教授 (30025960)
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研究分担者 |
松本 裕治 京都大学, 工学部, 助教授 (10211575)
田窪 行則 神戸大学, 教養部, 助教授 (10154957)
富岡 豊 東京大学, 工学部, 助手 (30188776)
原口 誠 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 助教授 (40128450)
白井 賢一郎 中京大学, 教養部, 助教授 (20162753)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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キーワード | 自然言語処理 / 言語理解 / 論理プログラミング / 状況意味論 / 日英対照言語学 / 並列処理 / 計算機ソフトウエア |
研究概要 |
コンピュ-タソフトウエアの基礎は自然言語をいかに形式的体系として捕らえ、そこに意味的情報を盛り込んだ取り扱いが出来るかという所にある。このような立場の研究は理論言語学、計算言語学、論理学などの協力研究を必要とし、日本側はこのような立場から研究グル-プを構成した。そしてこのような観点から最もよく研究を進めている米国スタンフォ-ド大学言語情報研究センタ-(Center for the Study of Language and Information)を中心とし、1部マサチュセッツ大学、マサチュセッツ工科大学、ハ-バ-ド大学、ボストン大学、ペンシルベニア大学の研究者と連絡を取り協力研究を行なった。 各研究分担者の研究状況は以下の通りである。 白井賢一郎:最新の形式意味論の観点から、自然言語とプログラム言語を統一の基盤で扱う可能性を追求することによって、ソフトウエアに対する新しい展望を切り開くことを目的とする研究を行なった。具体的には、そのような意味論の枠組として、スタンフォ-ド大学言語情報センタ-で開発された「状況意味論」(Situation Semantics)に着目し、これまでの英語的立場だけではなく、日本語的立場からも比較研究を行なうことを、スタンフォ-ド大学言語情報研究センタ-の研究者と協力して研究を行ない成果を得た。 原口誠:類推和の理論で示した類似性を与える写像を求め、プログラム上での推論を行なう技法と、決定規則によって媒体を自動的に求める長所を兼ね備えた類推の再定式化を与えた。負のデ-タを過度の類推を防ぐために用い、得られた類推は少なくとも現在のデ-タとは矛盾しないという意味での妥当性基準を満たすものとなっている。これらはボストン大学、カリフォルニア大学の研究者との討論により、充実した内容となった。 富岡豊:自然言語の統語論および意味論に関して、それぞれ句構造文法理論、状況理論の観点から、スタンフォ-ド大学言語情報研究センタ-の研究者と議論し、情報交換を行なった。その結果、日本語の関係節の統語論と意味論について考察を行ない、また、Martin Kayの日本語形態素解析システムにヒントを得て、JPSG approachによる形態素解析システムを作成した。状況理論、およびその記述言語PROSITの日本語との対比について研究を行ない成果を得た。 田窪行則:原理とパラメ-タの理論の談話構造への適用に関して、MIT、ペンシルベニア大学、ハ-バ-ド大学の研究者達と討議した。談話管理に関する基礎理論の研究として、韓国語の専門家であるソウル大学のChang Suk-jin氏(現在スタンフォ-ド大学客員研究員)、メンタルスペ-ス理論の創始者であるカリフォルニア大学サンディエゴ校のFauconnier氏と共同研究を行なった。その結果、メンタルスペ-ス理論を談話管理に応用する際の技術的な問題点を解決する方向が得られた。また、韓国語の指示詞、代名詞体系を談話管理理論で記述した。これらの成果から原理とパラメ-タの理論を談話の管理に適用する際の問題点の一部を解決した。 松本裕治:並列処理のためのプログラムにおける本質的問題として、依存関係のみを逐次的な記述で書き、それ以外の部分には依存関係を持たせるべきではないという考え方のシステムについて研究を行なった。そして本来、自然言語の文法や意味の記述などはそれがどのような手順で利用され、処理されるかという手続的な観点とは独立であるべきものであるという観点から、自然でかつ十分な処理効率を保証された自然言語処理のためのモデルを構築する研究を行ない、これらの成果について、スタンフォ-ド大学、ペンシルベニア大学、マサチュセッツ工科大学の研究者らと討論し、研究を進展させた。
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