研究課題/領域番号 |
01044079
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
沼 正作 京都大学, 医学部, 教授 (50025516)
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研究分担者 |
今野 卓 マックス, プランク医学研究所・細胞生理学部門, 研究員
SAKMANN Bert マックス, プランク医学研究所・細胞生理学部門, 部長
福田 和彦 京都大学, 医学部, 助手 (90199224)
田辺 勉 京都大学, 医学部, 助手 (70183069)
井本 敬二 京都大学, 医学部, 講師 (00176512)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
7,300千円 (直接経費: 7,300千円)
1989年度: 7,300千円 (直接経費: 7,300千円)
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キーワード | ニコチン性アセチルコリン受容体 / Na^+チャンネル / Ca^<2+>チャンネル / 部位特異的変異 / cDNA発現 / パッチクランプ / 電位感受機構 / テトロドトキシン |
研究概要 |
我々は先に人為的変異を加えたニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)サブユニットcDNAを発現させ、変異nAChRの単一チャンネルコンダクタンスの解析より、α、β、γ、δ各サブユニットの疎水性領域M2に近隣する3ケ所の負電荷を有するアミノ酸とグルタミンは、おそらく3つの環状構造を形成し、カリウムイオンの透過速度を決定していること、また2価カチオンとも作用しあう部位であることが明らかにした。変異を加えないnAChRの1価カチオンに対する単一コンダクタンスの順序は、K^+>Rb^+>Cs^+>Na^+>Li^+であり水中でのこれらのカチオンの移動度と異なることから、一般的に非選択性カチオンチャンネルと考えられているnAChRにも弱いながらイオン選択性がある。このイオン選択性が部位特異的変異により変化しうることを認めており、さらに詳細な検討を進めている。 Na^+チャンネルのsegment S4(正電荷をもつアミノ酸残基を含む特徴的な推定膜貫通領域であり、これまでに一次構造が明らかになった電位依存性イオンチャンネルすべてに共通してみられる)に変異を加え、変異Na^+チャンネルの性質をパッチクランプ法を用いて解析した結果、repeat Iのsegment S4に存在する正電荷の減少に伴いNa^+チャンネル活性化の電位依存性が減少することが明らかとなった。この事実はsegment S4が電位依存性チャンネルの活性化の電位感受機構に直接関与していることを示すものである。次に、repeat間およびN端、C端部位に欠損あるいは切断を加えた変異Na^+チャンネルの性質を調べたところ、repeat IIIとIVの間の切断が不活性化を著しく遅くすること、すなわちこの部位がNa^+チャンネルの不活性化に関与することが示された。さらにrepeat IのS5とS6の間にあるアスパラギン酸の変異によりNa^+チャンネルのデトロドトキシン、サキシトキシンに対する感受性が劇的に失われることを示した。 我々は先に骨格筋に存在するCa^<2+>チャンネルブロッカ-受容体の全一次構造を明らかにし、EーC couplingとslow Ca^<2+>チャンネル活性を欠損する変異であるmuscular dysgenesisを有するマウスの骨格筋細胞に、本受容体cDNAを注射し発現させることによって、EーC couplingとslow Ca^<2+>チャンネル活性を同時に回復させることに成功し、本受容体が E-C couplingに必須の成分(おそらくvoltage sensor)としておよびslow Ca^<2+>チャンネルとしての二重の機能を果たしていることを明らかにした。この成果に基づき我々は本受容体cDNAをプロ-ブとして心筋Ca^<2+>チャンネルブロッカ-受容体cDNAをクロ-ン化し、その塩基配列を決定することにより本受容体の全一次構造を明らかにした。さらに心筋Ca^<2+>チャンネルブロッカ-受容体cDNAより合成したmRNAをアフリカツメガエルの卵母細胞に注入して発現させ、L型Ca^<2+>チャンネル活性を測定することに成功した。現在これら2種類のcDNAをmuscular dysgenicのマウス骨格筋細胞に発現させ生理活性を比較中である。 cDNAと発現ベクタ-を用いてCHO細胞にニコチン性アセチルコリン受容体サブユニット蛋白を産生する細胞株を得、遺伝子増幅などの技術を用いて産生蛋白量の増加を図った結果、相当量のニコチン性アセチルコリン受容体サブユニット蛋白標品を得ることが可能となった。現在、結晶化に必要な量の標品を得るために大量培養と蛋白精製を継続して行うとともに、膜蛋白の結晶化条件の設定を始めている。
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