研究概要 |
代表者、一岡は研究全体を推進すると共に、光コンピュ-タのア-キテクチャ・デバイスに関する調査共同研究を行った。この研究により光コンピュ-タの研究の世界的な大きな潮流を把握すると共に、現時点で遂行すべき課題を明らかにすることができた。そして光コンピュ-タの早期実現には、(1)3次元ホログラフィ-技術が大容量並列メモリ作製に極めて有望である、(2)具体的なシステム、デバイス作製には並列光接続技術の応用可能性が高い、(3)高分解能の液晶空間光変調素子がプロトタイプシステムに利用可能、(4)並列演算アルゴリズムの研究が大切である、(5)日本の光・電子デバイスの2次元並列化の実用化技術を推進することが急務である、などの重要な知見を得た。そして、光コンピュ-タのア-キテクチャの研究を遂行すると共に、並列アルゴリズムの具体例の研究を行って良好な結果を得た。 分担者保立は、米国に於けるコヒ-レント光センシングの研究動向を調査し、この分野の研究者と議論を通して、分担者の研究の位置付け、今後の研究の方向付け等についての知見を得た。光ファイバ通信国際会議においては、Erド-プ光ファイバアンプ・レ-ザ、波長掃引半導体レ-ザ、低損失ガラス光導波路、高機能LiNbO3光集積回路等、関連デバイスの最新情報を得た他、光ファイバジャイロ、フライバイライト等、直接本研究につながる解説講演から多くの知見を得た。スタンフォ-ド大においては、Prof.Shaw,Prof.Byer,Prof.Goodmanの研究室を訪問し、光ファイバジャイロ、半導体レ-ザ励起の高機能固体レ-ザ、光インタ-コネクション等の話題での討論を行った他、研究分担者の最近の成果について講演する機会を得て、多くの有用な意見交換が図れた。また、MITにおいては、Prof.Ezekielを訪問し、双方共通の研究テ-マである共振型光ファイバジャイロについて詳細な議論を行い、今後の研究の方向付けにとって価値ある知見を得た。 分担者伊東は、カリフォルニア州パサディナのシェット推進研究所において、Breckinridge博士とRibak博士他多数の研究者と多次元光画像システム、特に分光映像システムについて十分に議論をすることができた。この議論を通じて分光画像システムの宇宙観測における重要性を肌で感じた。この他、南カリフォルニア大学のSawchuk教授およびIBMアルマデン研究所のStrand博士とも意見の交換をすることができた。サンディエゴでは第33回SPIE国際テクニカルシンポジウムに参加し、2次元エリプソメトリに関する論文発表を行ない、多次元画像システム、特に、2次元パタ-ン認識のための光学システムの研究動向を主に調査した。ハワイ大学のRoddier教授からRoddier夫妻の最近の天体干渉計に関する研究成果について詳細を聞くことができた。 分担者白石は、AT&Tベル研究所での共同研究により、光受動部品に要求される微小化・高機能化のための新しい素子構造が明らかになってきた。これを基礎にしていくつかの受動素子の高性能化並びに新しい構造をもつ素子を開発することができた。具体的には、(1)アイソレ-ション44dB,挿入損失0.9dBの特性を有する光ファイバ埋込型アイソレ-タの実現、(2)2種の誘電体薄膜の交互多層膜から成る新しいビ-ムシフト型偏光素子の考案、(3)45°のファラデ-回転時の挿入損失が0.08dBの極低損失特性をもつ高ファラデ-回転ガ-ネットの新しい育成方法の確立、(4)レ-ザと単一モ-ド光ファイバとの高効率結合が可能な先球ビ-ム拡大ファイバの提案、等の成果を得た。
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