• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

中国の低開発地域における地域開発に関する研究ー黄上高原地域の第一次産業開発ー

研究課題

研究課題/領域番号 01044092
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分共同研究
研究機関島根大学

研究代表者

北川 泉  島根大学, 農学部, 教授 (60032546)

研究分担者 張 克武  中央民族学院, 経済系, 教授
趙 宏慶  寧夏社会科学院, 刊物編集部, 編集主事
張 遠成  寧夏社会科学院, 副院長
陳 心慧  寧夏社会科学院, 経済研究所, 所長
馬 駿  寧夏社会科学院, 研究員
伊藤 勝久  島根大学, 農学部, 講師 (80159863)
井口 隆史  島根大学, 農学部, 教授 (70032604)
藤原 勉  島根大学, 農学部, 教授 (00023474)
森田 学  京都文化短期大学, 教授
ZANG Ke-we  Central Institute of Nationalities Vice-President Professor
ZHAO Hong-qing  Social Sciences Academy of Ningxia, Senior Vice-Editor, Senior Research Fellow
ZHANG Yuan-cheng  Social Sciences Academy of Ningxia, Vice-President, Senior Research Fellow
CHEN Xin-hui  Social Sciences Academy of Ningxia, Director of the Economy Institute, Associate
研究期間 (年度) 1989 – 1990
研究課題ステータス 完了 (1990年度)
配分額 *注記
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1990年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1989年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
キーワード寧夏回族自治区 / 低開発地域 / 地域開発門 / 第一次産業 / 野鼠問題 / 「天牛病」問題 / 集落移転 / 潅漑
研究概要

1.北京市及び寧夏回族自治区銀川市において寧夏回族自治区の社会・経済関係・水土保全関係の資料収集を行なった。その結果、自治区に関する成立以後現在までの各種のデ-タを含む文献・資料を集めることが出来た。
2.寧夏における南北較差の構造がほぼ明らかになった。すなわち、寧夏の中で約400kmにわたって黄河に接している北部平坦地域では、古くから用水路の開発が行われ、その豊富な水を利用することによって農業の発展が行われ、更にそれが市場の発展を促すことにより商工業の隆盛をもたらすことになった。これに対し、同じ寧夏の中にあっても、潅漑の行き届かない南部山地は、このような発展からは無縁で歴史と共に南北の「較差」は拡大していった。この南北「較差」の内実は、同じ構造上での進み遅れということだけではなく、その上に漢民族対回族という民族・宗教問題や、定着農耕文化対遊牧文化といった生活・文化の問題も重ねあわされることにより、構造的な地域差を拡大するものとなっていったように考えられる。
3.南北較差を解消するために較差是正政策(南部平坦地へ揚水潅漑を拡大し農業生産力と所得上昇を可能とし、そこへ山地からの集落移転を行う。そして一方、残された荒廃山地に対しては緑化事業による環境改善策をとる等)が取られ、それなりの効果が上がりつつあるが、それもまた、次のような新たな問題を生みだしている。
(1)野鼠問題:80年代に入って以降の総合的な地域振興策における羊飼養のための草地改良との関わりで発生したものである。こうした野鼠問題発生の原因は、地域振興策として進められている土地の集約利用が、先住者である野鼠の棲息領域にまで入り込んだことによるものと判断される。
(2)地力の低下と環境の悪化問題:西吉県では、1958年以来、山頂まで耕地の造成が行われ、大面積の階段状の耕地が広がっているが、こうした大面積の新しい土地利用の上に、更に伝統的な羊の放牧飼育が重なり、地力の低下と環境の悪化を引き起こしていることが明らかとなってきた。
(3)「天牛病」問題:非潅漑地(南部山地)から潅漑地(北部平地)への集落移転が積極的に行われているが、政府は移転先での土地利用には、飛砂(風による砂の移動)を押さえる防風・防砂林を兼ねた経済林を、家や耕地の回りに造成させている。このような造林は、総合的な振興策の一環として、土地利用の高度化を図るものであったが、造林樹種が成長の早い柳と楊)に限られていたため、問題を引き起こすことになった。すなわち、1985年頃より、次々と造林したポプラを中心に「天牛病」といわれる立枯れが発生し、またたく間に寧夏回族自治区の3分の1にわたって被害が広がった。これに対しては、現在のところ対症療法として伐採して焼却する以外に方法が無く、大量に被害木が伐倒・集積され、処分されている。この「天牛病」の正体は、カミキリムシであるが、大面積にわたる急激な単一樹種造林の拡大が、生態系を単純化させ、カミキリムシに大量の餌を用意すると共に、その天敵を失わせることになり、異常発生を招いたものと思われる。
4.集落移転については、その実態と問題の構造がほぼ明らかにできた。すなわち、集落移転は3年間山地と移住地との併住が行われた後、いずれかを農民自身が選択するというシステムになっている。そして、山地では老人を中心とする伝統的な羊を中心とした生活があり、移住地では若者中心の定着農耕が営まれている。これらは、相互に生活・文化の基礎を異にしている。大家族制をとり、回教を深く信仰する人々が、伝統的な生活文化を持つ山地を完全に捨てることができるのかが鍵となるものと思われる。ひるがえって、日本の高度経済成長に伴う山村の過疎問題の発生やその過程で進められた集落移転し対比すれば、寧夏のそれとは一見しただけでは、体
制を異にしている上、条件も違っているように見える。しかし、80年代以降における市場経済の拡大のもとに起りつつある寧夏の実態をみた結果、ほぼ同質の問題が発生しているように思われる。
5.日本に中国側研究者を招聘して行った共同研究の際、日中共同のシンポジウムを開催した。

報告書

(1件)
  • 1990 研究成果報告書概要

URL: 

公開日: 1989-04-01   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi