研究分担者 |
WILLIAMS D.M ロンドン大学, 歯学部(英), 教授
RUCH J.V. ルイパスツール大学, 医学部(仏), 教授
DONATH K. ハンブルグ大学, 歯学部(独), 教授
FRANK R.M. ルイパスツール大学, 歯学部(仏), 教授
DAVIES J.E. トロント大学, 歯学部(加), 教授
佐々木 崇寿 昭和大学, 歯学部, 助教授 (50129839)
久保木 芳徳 北海道大学, 歯学部, 教授 (00014001)
FEARNHEAD R. 鶴見大学, 歯学部, 教授
川崎 堅三 鶴見大学, 歯学部, 教授 (50064374)
平井 五郎 日本大学松戸, 歯学部, 教授 (80013845)
辻 孝憲 岡山大学, 歯学部, 助手 (50201637)
小野 俊朗 岡山大学, 歯学部, 助手 (50185641)
永井 教之 岡山大学, 歯学部, 教授 (90085770)
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研究概要 |
本研究は日本学術振興会,国際共同研究「合成水酸化アパタイトー骨誘導蛋白質複合体の骨誘導能に関する研究(昭和62ー平成元年,永井教之代表)を引き継ぎ,歯科インプラントや顎骨再生能の判定法を確立するための基礎的研究の情報交換のため組織された。 顎骨内に埋入された合成アパタイトHA界面における石灰化能についてinvitroにおいて得られた結果について小野,辻は6月67回IADR(ダブリン)への参加と共同討議のため,ハンブルグ,コンドンへ出張し討議した。invitroにおいて2つの実験が行われた。実験(1):HA表面のヒト骨肉腫細胞株(HOS)の初期石灰化について電顕的に検討した。その結果,HA上培養HOS細胞では初期石灰化像として膜様構造物関与の石灰化とHAP界面での物理化学的結晶沈着層が同時に認められ,HAP界面は結晶沈着条件に極めて適し既成マトリックスとして作用していることを示した(竹下,永井)。実験(2):内骨膜界面における石灰化現像を骨膜培養法により検討した結果,焼成温度の異なるHAPの骨形成能に顕著な差を認めず,骨膜細胞は,HA界面で積極的に骨芽細胞へ分化した。(小野,Davies)。invivoにおいて骨髄内に埋入されたHAでは,その界面で骨芽細胞が分化し骨形成が活発に生ずる部位とマクロファ-ジによる吸収像が行われる部位が認められるが,前者の部位では,HA界面が物理化学的結晶沈着層が出現し,invitroと同一現象が示されたHAの既成マトリックスとしての役割が証明された。又,酸化物セラミックの骨随内埋入では,その界面で,線維組織被包期,化骨被包期,成熟骨被包期を経過してオステオアンキロ-シスが成立してくる。骨形成にはその微小環境のCa濃度,PHなどが左右することが示唆される。以上の結果は岡山で国際共同セミナ-を開催して検討されまとめられた。外国人参加者はDr.Legeros,Daculsi,Frank,Ruchの他,多数の国内研究分担者が参加した。平成2年度は昨年の研究成果に基づき,引き続いて顎骨の再生医療の基礎的研究の継続,その情報交換と成界の発表の準備が進められた。生体材料は生体不活性材から生体活性材料(合成アパタイト)の生体反応に焦点があてられた。 研究代表者である竹下信義は平成2年5月4日〜13日に於いて,ワシントンで開催された1990年国際走査電顕学会に招聘を受け,合成アパタイトの皮下移植時における多核巨細胞の電顕的研究を発表し、アパタイト界面に出現する多核巨細胞は,骨髄内と粘膜下組織内では酵素組織化学的にも又超微構造的にも相違あることを発表し又、共同研究者であるDaviesと共同研究の為の情報交換を行った。 7月2〜5日,東京に於いて第5回国際口腔病理学会が開催され,共同研究者である永井教之がシンボジュ-ム"Biomaterial and tissue reaction"の企画を依頼された。本研究グル-プによる研究成果の発表と内外参加者30名と共に共同討議がなされた。座長はJ.E.Daviesと永井が担当し,J.E.Daviesは合成アパタイトと培養骨芽細胞が応答について,R.M.Frankは歯随間葉係細胞における合成アパタイトの石灰化能についての電顕的研究,D.M.Williamsは口腔粘膜と材料との係わりについて又Donathは金属インプラントの負荷時の骨反応について,又久保木は骨誘導物質の生化学的解析について報告した。又共同討議には共同研究者である平井,川崎,Fearnhead,佐々木が参加した。引き続いて参加者は岡山大に於て研究成果の詳細について検討した。その結果論文集を出版すべきとの合意を得,永井,竹下が中心となって編集するが,その予算は別途科研費をすることになった。今後は合成アパタイトや骨誘導物質及びその複合体を開発していくことが,永井,久保木の両研究室を中心に国際共同を継続していくことが合意された。
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