研究課題/領域番号 |
01044129
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
赤堀 文昭 麻布大学, 獣医学部, 教授 (70063964)
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研究分担者 |
松田 基夫 麻布大学, 生物科学総合研究所, 助教授 (50139531)
藤瀬 浩 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (40106232)
政岡 俊夫 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (30063978)
小林 好作 麻布大学, 獣医学部, 教授 (80063949)
小林 貞男 麻布大学, 環境保健学部, 教授 (40105820)
OEHME Freder Kansas State Univ., Coll. Vet. Med. ・, Professor
OEHME Frederick W. Kansas State Univ., Coll. Vet. Med., Professor
FREDERICK Oe Kansas State Univ, Coll. Vet. Med. ・, Professor
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
5,030千円 (直接経費: 5,030千円)
1991年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1990年度: 830千円 (直接経費: 830千円)
1989年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | パラコ-ト / 肺線維症 / コエンザイムQ / 肺胞マクロファ-ジ / 微量元素 / α_2ーマクログロブリン / クロルプロマジン / タウリン / ビ-グル犬 / ディハイドロプロリン / 画像解析 / 結合組織性線維 / 種差 / チオネイン遺伝子 |
研究概要 |
1.PQ毒性機序に関する研究 ミトコンドリアの保護物質であり活性酸素のスカベンジャ-でもあるCoenzyme Qn(CoQ)は、ラットの肺組織中ではCoQ_9が最も多く4〜10μg/g.tissueで、CoQ_<10>が1〜2μg/g.tissueであり、CoQ_8は検出限界以下であった。このCoQ_9およびCoQ_<10>はPQの致死量投与(40mg/kg,s.c.)によりいずれも肺中濃度が減少した。それ故、PQ肺毒性のメカニズムにはミトコンドリアに対する毒性機序が大きく関与していることが示唆された。 2.PQ誘発肺線維症発現メカニズムに関する研究 1)PQ投与サルにおける気管支ー肺胞内細胞の動態 アカゲザル3頭にPQを2mg/kg皮下投与し、気管支肺胞洗浄を行い細胞を回収して観察した。長期間生存した1例では肺胞マクロファ-ジと好中球が増加し、肺胞マクロファ-ジには活性化を示唆する形態変化を認めた。 2)亜鉛欠乏ラットにおけるパラコ-ト毒性 必須微量元素、とくに亜鉛欠乏飼料(3ppm)給餌ラットにおけるPQ毒性について亜鉛正常飼料(30ppm)給餌ラットと比較した。 肺組織中のImmunoreactive prolyl hydroxylaseは亜鉛欠乏ラットおよび正常ラットともPQ25mg/kg以上の投与群で投与6日目に増加するのを認めた。肺の組織学的評価には画像解析装置(OlympusーAvio Color Image Analyzer SPー500)を用い、肺の単位面積中の結合組織性線維の占める割合を面積比で算出し、亜鉛欠乏ラット肺組織と正常ラット肺組織の比較を行ったが差は認められなかった。また、同時に判定した肺重量でも差を認めなかった。 3)イヌのα_1ーマクログロブリン(α_1ーM)、α_2ーマクログロブリン(α_2ーM)については分離・精製をすることができた。イヌα_1ーMはp1=5.4,分子量724,000でα_2ーMはp1=5.7,分子量758,000であった。これらを用いて抗血清を作り、イヌのPQ中毒におけるα_1ーMとα_2ーMの測定が可能となり、イヌでのより詳細な検討が可能となった。 3.治療薬開発へのアプロ-チ PQ中毒に対し、NーacetylーLーcystein(NAC)およびChlorpromazine(CPZ)の効果を示唆する文献が認められることから、NACおよびCPZに加えてPQ毒性発現メカニズムから考慮して有効と考えられたLーCystein、dlーtocopherolーLーascolbic acid potassium(EPCーK)、Coenzyme Q_<10>(ubidecarenone,CoQ_<10>)およびtaurineについてPQ毒性に対する効果を検討した。 スクリ-ニングテストにおいてNAC、CoQ_<10>およびtaurineで生存率が高くなる傾向が認められ、またCPZはラットで有意に生存率が高くなるとの報告があり、これらの薬物についてラットを用いて本実験を行った。その結果、NACの処置ではPQ投与後2日目の時点でNAC処置群が生食群に比べ高い生存率を示したが、PQ投与後3日目の時点では生存率に全く差は認められなかった。またCoQ_<10>処置でもスクリ-ニングテストではPQ毒性における生存率が高くなる傾向を認めるものの、本実験では有意差を検出することができなかった。CPZにおいても、PQ毒性における生存率の上昇は認められず、これまでPQ毒性の指標としてきた血清セルロプラスミン、血清アンギオテンシンI変換酵素、肺ヒドロキシプロリン量および肺コエンザイムQの上にもCPZ処置の効果を認めることはできなかった。一方、5%taurineの持続投与では、PQの生体内分布に影響を及ぼし、PQの血中から組織内への移行を抑制し、腎機能がほぼ正常に保持されることを認め、これらの結果よりPQ毒性に対してはtaurineの処置がある程度期待できるものと考える。
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