研究分担者 |
QUINN Brian Carnegie―Mellon大学, Physics Dept, 教授
SCHUMACHER R Carnegie―Mellon大学, Physics Dept, 教授
FRANKLIN Gre Carnegie―Mellon大学, Physics Dept, 教授
BASSALLECK B New Mexico大学, Physics Dept, 教授
BARNES Peter ロスアラモス国立研究所, 所長
延与 秀人 京都大学, 理学部, 助手 (30213606)
高島 隆一 京都教育大学, 助手 (60163200)
田村 詔生 岡山大学, 理学部, 教授 (00025462)
岡田 憲志 京都産業大学, 計算機科学研究所, 助教授 (90093385)
三宅 弘三 京都大学, 理学部, 教授 (60025260)
政池 明 京都大学, 理学部, 教授 (40022587)
今井 憲一 京都大学, 理学部, 助教授 (70025493)
BASSALLECC B New Mexico大学, Physics. Dept., 教授
FRANKLIN Grr Carnegie―Mellon大学, Physics Department・Assoc, Prof
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配分額 *注記 |
10,100千円 (直接経費: 10,100千円)
1991年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1990年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1989年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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研究概要 |
素粒子物理学に於ては量子色力学が大きい成功を収めた。これをうけて原子核研究に於てもクォ-ク自由度が本質的であるような現象を捜すことが中心的課題となっているが、今のところその確たる証拠はみつかっていない。この点で1977年Jaffeによって予想されたH粒子は非常に興味がある。これを構成する2コの∧粒子はクォ-クレベルのカラ-マグネティック相互作用によってはじめて強く結合すると考えられる為、もしH粒子が検出され、その質量が決定されればそれは原子核分野はもとより素粒子論に於ても画期的である。 本研究の目的はブルックヘヴン国立研究所に新たに建設された大強度Kビ-ムラインを用いてE813,E836の2つのH粒子検証の為の実験を行うことが当初の目的であった。E813に於てはK^-を水素標的に導き、生成されたΞ^-粒子を隣接する重水素標的中で止め、Ξd→Hn反応によって反跳を受ける中性子の運動量を測定してHの生成を確認することが目的とされ、又E836に於ては ^3He標的を用いてK^-He→dn K^+反応の反跳K^+のスペクトルから同じくHの生成を確認することが目的とされる。しかしながら米国に於ける国家予算削減の影響を受けて陽子加速期間がきわめて少くなったため、本計画の期間中には1991年4〜6月にE813のデ-タ取得が行われるのがやっとであった。 本計画の発足と同時に検出器のデザイン、高エネルギ-物理学研究所に於けるテスト実験等が開始された。ブルックヘヴンのビ-ムラインは1990年夏には完成し、又同じ頃スペクトロメ-タ・マグネットもインスト-ルされた。各チェンバ-類や日本側の担当するアエロジェル・チェレンコフ・カウンタ-,Timeーofーflightカウンタ-等の組み立ても行われ、1991年はじめにはスペクトロメ-タを構成するすべての検出器の組み立てが終りテストが行われ、所期のパ-フォ-マンスが得られることが確かめられた。水素・重水素の二重標的もうまく稼働した。又高エネルギ-物理学研究所で行われたE176のデ-タ解析の結果、K^-ビ-ムの当った標的から非常に多くの陽子の反跳があることがわかって急いで組み立てられたル-サイト・チェレンコフ・カウンタ-もほぼ準備がととのった。 しかしながら1991年4月の実験開始後、ビ-ムセパレ-タの電圧がうまく上らないという事態が発生した。努力にもかかわらずセパレ-タ電圧600KVで実験を行わざるを得ず、この為ビ-ムの運動量を1.7GeV/cに下げてデ-タ取得を行った。この事故の結果としてデ-タの統計は予定の6%程に制限された。 7月はじめ実験終了後ただちに結果の解析が開始された。11月迄に約1割のデ-タが解析され、この結果すべての検出器が予定通りに稼働したことが確認され、重水素標的中でのΞ^-粒子のストップが固定できることが確かめられた。このことは12月、下田で行われたハイパ-核に関するINS国際シンポジウムでBarnesによって報告された。 現在デ-タのリダクションが順調に進行中である。しかし1991年のデ-タは統計が少いことと、E813の延長がPACで認められ、1992年5・6月に8週間の実験が予定されていることから、デ-タの公表はこの実験の結果を加えて発表される予定である。 現在セパレ-タのコンディショニングは順調で、次の実験は1.8GeV/cで行うことができよう。これによるK^-の増加とセカンドレベルトリガ-の導入、トリガ-の改善によるデッドタイムの減少から今回は約170RのH事象が期待できる。(ここにRはΞ^-d原子からHが生成される分岐比である。)これにより仮にRが0.1程小さくても十分統計的に意味のあるデ-タがとれる予想で、現在実験の準備が着々進行中である。 以上のような理由で本計画の終り迄には学術誌への公表が間に合わなかったが、1992年中にはデ-タ解析が進み結果が公表できるものと思われる。
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