研究課題/領域番号 |
01044137
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 舞鶴工業高等専門学校 |
研究代表者 |
前野 賀彦 舞鶴工業高等専門学校, 助教授 (90110139)
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研究分担者 |
間瀬 肇 京都大学, 工学部, 助手 (30127138)
酒井 哲郎 京都大学, 工学部, 助教授 (30026182)
KOBAYASHI Nobuhisa College of Eng., University of Delaware
FODA Mostafa A. College of Eng., University of California, Berkeley
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
1989年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
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キーワード | 近岸帯 / 海岸構造物 / 砕波 / 間隙水圧 / 有効応力 / 消波ブロック / ケ-ソン / 相互作用 / 海底地盤 / 安定性 / 設計法 / 理論モデル |
研究概要 |
1.前野は、波浪により海底地盤内に発生する間隙水圧の発達特性と海底地盤表層の液状化特性を明らかにするために、造波水槽を用いた実験および現地観測を行った。具体的には、海底地盤および実験砂層内で間隙水圧変動と土圧変動を同時に測定し、有効応力変動を検討した。それによれば、砂層表層において相当大きな有効応力変動が観測され、その地点の土かぶり圧に比して大きくなる可能性が認められる。この現象は波浪による液状化と考えられるが、このような状態は底質の移動や海岸構造物の沈下に影響を及ぼすと考えられることから、(1)漂砂形態との関連や(2)構造物の沈下特性を検討した。 間隙水圧の発達特性が、漂砂形態の分類に用いられる無次元パラメ-タ、レイノルズ数・シ-ルズ数・水粒子軌道直径粒径比と関連しており、砂漣が発生すると間隙圧の発達の割合が減少することを既に示している。今回、新たにこれらの無次元パラメ-タと砂層内の間隙水圧変動および有効応力変動とを比較することにより、砂漣の消滅限界もしくはシ-トフロ-の発生限界を求めることが可能であることを示した。これは、砂層表層付近の有効応力が減少し砂が流動化すると砂が波の運動により移動し易くなることを示している。 また、海岸構造物の沈下特性を明らかにするために、造波水槽を用いた実験を行ったが、底質に原型と同じ砂を用いており起波できる波の波高にも制限があることから、沈下を確認することはできなかった。そこで、遠心載荷装置を用いた実験を行うことにより消波ブロック等の構造物の沈下特性を検討している。一方斜面に設置される護岸ブロックの沈下特性を明らかにするために造波水槽を用いた模型実験を行った。それによれば、ブロックは波の遡上時に護岸裏の砂が吸い出されることにより沈下することが認められた。 2.前野とFodaは、従来の地震による液状化とは異なり鉛直圧力変動により砂層表層が液状化するとの考えに立って、上下方向に振動する振動台を用いて液状化を再現し理論モデルを提案した。現在論文をとりまとめ中である。 3.酒井と間瀬は消波ブロックが設置される砕波帯では、漂砂運動が顕著である。このような砕波帯では波浪による海底摩擦が無視できないが、これまでの波浪による海底地盤応答の扱いでは、波浪による海底摩擦は考慮されていない。そこで、Mei&Fodaの境界領域近似を用いて、波浪による波圧と摩擦が同時に海底面に働く場合の海底地盤応答の近似解を導き摩擦の効果を検討した。 4.間瀬、酒井と前野は、Biotの圧密方程式に基づいて、混成堤のケ-ソンに作用する揚圧力および防波堤周辺の海底地盤内の変動間隙水圧分布を解析し以下の結論を得た。(1)揚圧力分布に及ぼす捨て石マウンドの剛性および波の周期の影響は、マウンドの透水係数が大きい場合にはほとんど見られず、透水係数が小さい場合に若干見られる。(2)揚圧力分布に及ぼすケ-ソンのロッキングの影響は、捨て石マウンドの透水係数が大きい場合にはほとんど見られないが、透水係数が小さい場合にはその影響が現れる。(3)揚圧力に関しては、捨て石マウンドの透水性の影響が重要である。マウンドの透水係数が大きい場合には揚圧力はほぼ三角形分布しており、前肢の揚圧力はケ-ソン前面の底部に働く波圧に比べて小さく、全揚圧力もマウンドの透水係数が大きい場合のそれに比べてかなり小さくなる。(4)ケ-ソンのロッキングは、防波堤周辺地盤内の動水勾配を大きくし、マウンド法先付近の海底地盤においては液状化発生の可能性がある。 5.間瀬とKobayashiは、Kobayashiの不透水性の潜堤および斜面上の波の変形に関するモデルを透水性のものに拡張するための理論モデルを提案し、解析プログラムを作成している。前野とKobayashiは、このモデルの検証のための造波水槽を用いた実験を検討している。
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