研究課題/領域番号 |
01044138
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
大江 昌嗣 国立天文台, 地球回転研究系, 教授 (00088783)
|
研究分担者 |
佐久間 晃彦 国際度量衡局, 教授
鶴田 誠逸 国立天文台, 技術部, 技官
花田 英夫 国立天文台, 地球回転研究系, 助手 (60132677)
坪川 恒也 国立天文台, 水沢観測センター, 助手 (90125211)
中井 新二 国立天文台, 地球回転研究系, 助教授 (70000172)
|
研究期間 (年度) |
1989
|
研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
|
配分額 *注記 |
5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
1989年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
|
キーワード | 絶対重力計 / 国際比較 / 絶対重力基準点 |
研究概要 |
はじめに 国際測地学協会(IAG)の勧告により、合計10ケ国が参加した第3回の絶対重力計国際比較測定が、フランスのパリ郊外セ-ブル市にある国際度量衡局(BIPM)で、1989年11月15日から12月7日まで行われた。今回の国際比較の目的は、日本とBIPMの絶対重力計の間に系統誤差が無いことを確認し、重力絶対測定デ-タの基準を確立することにある。日本からは国立天文台水沢観測センタ-の可搬型絶対重力計2号機が参加し、所期の目的を達成することができた。 測定方法 今回の国際比較は、同一建物の2つの実験室に分布する合計5点の測定点(A、A1、A2、A3、A8点)が用いられた。参加10チ-ムにはそれぞれ5つの測定点の内の1つが割り当てられ、測定時期により2つのグル-プ(前半:オ-ストリア、フランス、中国、フィンランド 後半:カナダ、西ドイツ、アメリカ、日本、ソ連)に分けられた。日本は、11月28日からの第2グル-プに入り、A8点が割り当てられた。しかし、参加チ-ムのほとんどは、決められた測定点の他でも測ったため、1チ-ム平均して2点で絶対測定を行ったことになった。水沢の装置も、測定後半にBIPMの装置と直接比較するために、A2点に移動した。それぞれの点での測定結果は、国際絶対重力基準点の1つであるA点に引き直されて比較される。 一方、11月22日から27日まで行われた相対重力測定では、参加各国からの10台のラコスト重力計により、測定点同士の重力差および重力の鉛直勾配の測定を行なった。また、長さの基準として使用するHeーNeレ-ザの波長は、随時、BIPMの標準レ-ザと比較検定された。この検定は、被測定レ-ザを実際の使用条件に合わせた状態でなされたので、長さに起因する系統誤差は極めて小さいことが保証された。 測定結果 最終的な結果は、各国の相対重力計での鉛直勾配、重力差のデ-タを統一的に処理した結果を基にして決めることになっている。ここでは暫定値を示す。 測定点 A8 A2 測定期間 Nov.27-Dec.6,1989 Dec.6-Dec.8,1989 落下回数 207 43 平均値 980926.384mGal 980925.804mGal 標準偏差(単一落下) .181mGal .112mGal 標準誤差(平均値) .013mGal .017mGal 高さ補正 .154mGal .181mGal 光速度補正 .008mGal .008mGal 最終結果 980926.533mGal 980925.978mGal(基台表面より5cm上での値) ラコスト重力計の値からA点に引き直すと、 A点 980925.968mGal 980925.970mGal 絶対測定による重力差 (A8ーA2) 0.555mGal ラコスト重力計(G305)による重力差 (A8ーA2) 0.557mGal 後半のグル-プが提出した速報値と、水沢の測定値との差は3マイクロガル以内であった。 問題点 BIPMは市街地にあるため、都市雑音(特に交通による地面振動)が非常に大きく、平均400μGal程度の地面振動による加速度成分があった。我々の装置では、地震計によって地面の加速度成分を検出し、後で測定結果に数値で補正している。この振動補正方法は、地面振動が大きくなるに従い限界が生じてくる。 今回、単一落下における測定のバラツキが大きかったのは、振動補正が充分でなかったのと、新型落下装置の落下特性がまだ安定していないことが原因と思われる。今回の比較測定のように、地面振動の大きい地点でも標準誤差の小さい測定が要求される場合には、どうしても測定回数を増やす必要がある。しかし、現在のシステムでは、フリンジ処理に約10分間を要するのでかなり不利である。今後、振動補正方法、落下特性の向上と共にこの点を改善する必要がある。 まとめ 本台の可搬型絶対重力計2号機による測定結果は、系統誤差も認められず、世界最高水準の総合性能をもつ絶対重力計であることが確かめられた。
|