研究課題
国際学術研究
本学術研究は各自がそれぞれのテ-マをもち世界の優れた望遠鏡や観測器を使って行う観測的研究であり8チ-ムが観測調査を行った。波長域は電波から赤外、光にわたる。テ-マとして分けると、銀河が3テ-マ、星形成が4テ-マ、宇宙論、太陽が各1テ-マであった。以下観測成果の概要をテ-マごとに記述する。1)活動銀河のCO分子スペクトルの赤外観測(長田、綾仁、中川:IRTF)M82とNGC4151の4.6μmCOスペクトル観測からCO量の上限値を押さえた。これから銀河中心の活動において星成分からの寄与が小さいことが推定され、銀河核進化のモデルに有効な制限を与えることになる。2)系外銀河および星形成領域の赤外偏光観測(上野:KPNO2.1m、関口:KP1.3m)KP2.1m望遠鏡に2次元赤外線センサ-を取り付け、銀河核および星形成領域の偏光観測を行った。国立天文台に新設されたSun Sparc Station上のIRAFで画像解析を行いつつある。現在銀河中心部の偏光マップが描けるようになった。半年後には論文として発表できるであろう。またKP1.3mによる星形成の赤外偏光観測も多量のデ-タが取れているが、解析が遅れている。新たに体制を整えて解析にのぞむ必要がある。3)太陽フレアの電波観測(新田:VLA)広い波長域にわたる太陽フレアを観測して、予測されていた太陽極大値よりもさらに活発なフレアを捕らえることができた。今回の観測は米国の1991年度太陽極大期を目指したMax'91と呼ばれるキャンペ-ンの一環として行い、太陽活動が予想よりはるかに活発になっていることがはっきりした。現在極大大期衛星(SMM)のX線デ-タ、また欧米の地上観測デ-タとの比較検討が進行している。4)原始銀河の分光観測(高遠:WHT)木曽観測所で発見した原始銀河候補の分光観測を行ったが、たまたま大気の状態がきわめて悪く、ほとんどデ-タらしいものは得られなかった。5)原始星およびTタウリ星と惑星形成(観山、井田、中本、渡辺:KPツ-ソン)原始太陽系形成においてTタウリ星の観測からタイムスケ-ルとし10^6年以内に惑星を形成することが明らかにされ、理論計算(木星形成時間の見積は10^8年)と食い違うことが確かになった。この結果太陽系の形成シナリオ特に惑星集積過程の根本的見直しに迫られている。総じて厳しい国際競争のなかで若手を中心として価値の高いテ-マに挑み、成果を出している。しかしながら観測所の財政が逼迫してきたためか、応分の対価を示唆されるケ-スが出始めている。
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